【コラム】「トリレンマ」に陥った韓国政府の経済政策
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.03.14 07:32
某企業の人事担当役員であるAさんは新しい人材需給計画を立てるのに頭が痛い。韓国政府の政策趣旨に合わせて正規職を増やさなければならず、最低賃金上昇により既存社員の基本給と手当ても引き上げなければならない。すべて人件費上昇要因だ。Aさんは「だからと人件費を節約するため新入社員の採用を減らそうとすれば青年雇用を増やそうとする政府政策に反することになり答がない」と訴えた。
韓国政府が力を入れている経済政策3種類を挙げるなら、最低賃金引き上げに代表される不平等緩和、雇用拡大、そして持続的な成長だ。しかし分配指標は最悪に追いやられ、新規就業者数は縮小し、成長率は下り坂だ。何が誤っていたのだろうか?
世界の景気が下降局面に差し掛かり韓国の経済構造が変わった影響が大きいが、政府も責任から逃れることはできない。特に政府が出した政策が互いにシナジーを出すよりも互いに効果を半減させる「逆シナジー」を起こしているという点で政府の診断と対応が誤ったという指摘が多い。先に述べた3種類の政策が互いに衝突を起こし、どれかひとつを解こうとすると別のひとつが絡まってしまういわゆる「トリレンマ」(Trilemma、三すくみ)に陥った局面だ。