韓国の免税店業界が中国人の担ぎ屋が集中することで苦しい状況に追い込まれた。一度に多くの製品を購入する大口顧客だが、免税店で乱闘劇まで行うなど醜態も見せているためだ。免税店は中国人観光客が依然として増えず、担ぎ屋を引き込まなければならない状況のため、何も言えずに気を揉むばかりだ。一部では実質的消費をする観光客ではない担ぎ屋が免税品を買い占めることで税金逃れをあおっているという指摘も出ている。

◇床に座り込み暴力まで…めちゃくちゃな中国人担ぎ屋

中国版ツイッターのウェイボーには１７日、ソウル市内のある免税店で乱闘劇を繰り広げる中国人担ぎ屋の様子を映した動画が上げられた。１５日に撮影されたこの動画には化粧品コーナーで２人の女性がもみあいとなり、１人が転倒して立っていた女性が馬乗りになり暴力を振るう場面が収録されていた。馬乗りになった女性の知人とみられる男性は倒れた女性の頭を数回足で蹴る危険な姿も見せた。

中国メディアは現場目撃者の話として、彼らは中国から来た代理購入商人で、化粧品を先に買おうとして争い乱闘劇になったと伝えた。

中国人の非難世論は激しかった。中国のネットユーザーは「どこかへ行って中国語で話すな。海外に観光に行ったならマナーに気を付けなければならない」と声を高めた。

乱闘劇が起きた免税店は困難な状況に置かれた。ソウル市内中心部にある有名免税店のため、中国の担ぎ屋がけんかしたところと噂が立って良いことはないためだ。イメージも打撃を受けるほかない。Ａ免税店関係者は「正直なところわれわれも担ぎ屋はありがたくない。店内の行列が長くなると床に座り込んだり小競り合いが起きることもしばしばある」と話す。

それでも受け入れざるをえない。売り上げを牽引する大口顧客であるためだ。免税店業界は担ぎ屋市場の規模が年５兆ウォンを超えると推定している。

実際にロッテ免税店は上半期の売り上げが前年同期比２９％増加の２兆７００９億ウォン（約２７３０億円）、営業利益は１９９５％増の１５５０億ウォンを記録した。

新羅免税店もやはり４－６月期の売り上げが１兆５４９億ウォンで前年比５３％増え、営業利益は６４０億ウォンで６８０％増えた。この中心には熱心に韓国製品を買い占めてプレミアムを付け中国で再販売する担ぎ屋がいた。

ビューティ業界関係者は「中国の免税店や実店舗にも同じ商品はあるが中国人はあまり行かないという。韓国から直接持ってきてこそ本物という認識がある」と話した。

◇「中国人観光客もいないのに断ることもできず」…困惑する韓国の免税店

担ぎ屋が免税店の実質的に営業利益拡大に大きくつながっていないという意見もある。大量購入にともなう各種割引とガイド手数料を除くと利益は大きくないということだ。

Ｂ免税店関係者は「担ぎ屋顧客の場合、各種割引行事を利用しており、連結する旅行会社への手数料もわれわれが払わなければならない。売り上げ拡大にはある程度役立つかも知れないが営業利益には大きな助けにならないとみなければならない。免税店業界が本当に笑おうとするなら純粋な中国人観光客が来なければならない」と話した。

担ぎ屋が免税品を買い占めて帰り税金逃れにつながっているという政界の指摘もある。

関税庁によると昨年韓国国内４８カ所の免税店の総売上額は１４兆４６８４億ウォンで前年より１７．９％増えた。売り上げだけ見れば過去最大だ。全売上額のうち市内免税店の売上額は１１兆１１６８億ウォンで前年より２４．８％増え全体の７６．８％を占めた。

これに対し空港や港湾の出国免税店の売上額は２兆７５７１億ウォンで０．７％減少し全体の１９．１％を占めるのにとどまった。

これは観光客は減り一部担ぎ屋の買い占めだけが深刻化したという話だ。

国会企画財政委員会所属のイ・ヒョンジェ議員は昨年の国政監査で、「市内免税店で外国人観光客の買い占め現象が深刻化している。相当部分は税金逃れの手段として悪用されていると推定され、関税庁の対策と制度準備が至急だ」と指摘している。