ｅコマース（電子商取引）企業のティーモン（ＴＭＯＮ）が「韓国版網紅」の育成に乗り出す。ティーモンのアプリケーションで始まった販売放送にソウル・東大門（トンデムン）やカロスキルなどで人気を呼んでいる中小ファッション業者を大挙引き込む計画だ。

網紅は中国のインターネットで個人放送を通じて商品を販売し影響力を持つ人たちで、「網絡紅人」の略語だ。中国アリババが網紅をひとつに集めたように、ティーモンもモバイルでインフルエンサーと潜在力のある新進販売業者に活動基盤を用意するということだ。

◇メディアコマースで勝負

ティーモンのユ・ハンイク代表は１４日に韓国経済新聞とのインタビューで「アリババでは網紅が個人放送をしながら製品販売もするプラットフォームが大人気を呼んでいる。ティーモンもアリババのような消費者間（Ｃ２Ｃ）ライブ放送サービスを年内に始める」と話した。「東大門やカロスキルなどで衣料品店をする人がティーモンライブ放送に出て自分の商品を直接販売できるようにするもの」という説明だ。

グローバルコンサルティング企業のベイン・アンド・カンパニー出身のユ代表は、ティーモン、ウィメプとともに「ソーシャルコマース３人組」と呼ばれるクーパン創業メンバーだ。２０１２年にティーモンに合流して経営戦略室長、核心事業推進団長、最高事業責任者などを務めた。ティーモンの筆頭株主で５９％の株式を持つプライベート・エクイティ・ファンド（ＰＥＦ）のＫＫＲとアンカーエクイティパートナーズは７月にユ代表を最高経営責任者（ＣＥＯ）に選任した。

ユ代表が推進中の「Ｃ２Ｃライブ」はティーモンが昨年９月に始めた「ＴＶＯＮ」をアップグレードするものだ。彼は代表就任後にメディアコマースを未来事業分野に定め、テレビ通販のように放送を通じた商品販売を始めた。放送チャンネルの代わりにティーモンのモバイルアプリを活用した。ティーモンの既存主消費層である２０～３０代を狙ったためだ。

こうした試みは期待以上の結果につながった。ユ代表は「先月の月間注文額は１００億ウォンを突破した」と話した。次の挑戦課題はＣ２Ｃライブ事業だ。「午後６時まではこれまでのようにショーホストが番組を進める。その後はソーシャルメディアスターブロガーやユーチューバーが個人放送をする」というのがユ代表が構想する核心コンセプトだ。

彼は「発見型ショッピングの延長」と話した。発見型ショッピングとは消費者がとても良い条件のため偶然に購入することを言う。ティーモンはこの分野で特に強みがある。「モンスターディール」は破格な価格だけ集めたコーナーだ。ユ代表は「チャンネルを回して目が止まれば特に必要なくても購入してしまうがモンスターディールはテレビ通販と似た点が多い」と説明した。

◇流通大企業とのコラボも検討

ティーモンは定期的に購入する日常的な買い物分野にも事業を拡張している。ユ代表は「スーパーマート月間販売額が３００億ウォンを超えた。特別なマーケティングをせず口コミだけでこの程度の実績を上げたことは驚くべきこと」と強調した。ティーモンは２０１５年６月に「ティーモンスーパーマート」を始めた。３年で累積購入顧客数３０００万人を超えた。上半期のスーパーマート売り上げ増加率は前年同期比８０％台に達する。

ユ代表は「発見型ショッピングに向けティーモンを訪問した消費者が自然に連結されている」と説明した。過去にはティーモンでナイキの靴を購入し、イーマートモールで日常の買い物をしていた消費者がティーモンの中ですべて購入するようになったという話だ。

Ｇマーケット、１１番街のような「オープンマーケット」事業も推進中だ。スーパーマートのように発見型ショッピング購入者がワンストップでショッピングができるようにするためだ。このためムシンサ、ジグザグなど独立系オンラインモールモデルを適用する方針だ。ティーモンの販売データを小商工人に公開し、彼らが販売戦略を立てるのに助けになるという意味だ。

オフライン店舗のティーモンファクトリーも拡張する。オフライン店舗を多く保有している企業とコラボすればコストを多くかけずに店舗を増やせるというのがユ代表の考えだ。彼は「メディアコマース、スーパーマート、オープンマーケットなどチャンネル別に安定すれば来年は赤字規模を大きく減らし、２０２０年には黒字転換が可能だろう」と明らかにした。

今年ティーモンの売り上げは前年比約４０％増え５０００億ウォンに達すると予想される。ティーモンは昨年売り上げ３５７２億ウォン、営業損失１４１８億ウォンを記録した。取引額は年４兆ウォン水準だ。