米国主導の超強大国時代は斜陽となり、力の多極化時代が訪れている。国際問題専門家であるニューヨーク大学のマーク・ガレオッティ大教授は「現状況は、新しい冷戦（Ｃｏｌｄ　Ｗａｒ）というよりは『熱い平和（Ｈｏｔ　Ｐｅａｃｅ）』の時代」と述べた。イデオロギー膨張のための強大国間の生存競争ではなく、外交力と経済力を前面に出した利益の衝突時代だということだ。

国際情勢の変化は、韓国外交にも新しい宿題を投げかけた。これまでのブロック外交の代わりに、変化する世界秩序に弾力的に対応できる「創造外交」がそれだけ切実になった。尹炳世（ユン・ビョンセ）外交長官も先月３１日、在外公館長会議で「ウクライナ事態は脱冷戦後の国際秩序に新しい混沌を引き起こしている」として「不確実性と混沌という挑戦を、新しい機会にしなければならない」と話した。

専門家たちは多角化する国際情勢をチャンスにする外交力の強化が切実だと話す。梨花（イファ）女子大学国際学部のパク・インヒ教授は「支配国家が交代する過程で大規模な緊張や対決が広がることはない」としながら「強大国や弱小国ができないことがある複雑な国際秩序が形成されたため、韓国のような中堅国の役割が浮上できる」と話した。キム・ソンハン高麗（コリョ）大学国際大学院教授は「ますます米中対立の頻度が高まり、韓国の負担は大きくなる」としながら「韓米同盟を中心軸にするものの、米中の大きな戦略ゲームには関与しない方法を考えなければならない」と話した。

◆ホットピース（Ｈｏｔ　Ｐｅａｃｅ）＝「冷戦（Ｃｏｌｄ　Ｗａｒ）」の相対概念。国際政治学者はウクライナ事態をめぐる西側とロシアの対立を説明するためにこの表現を使う。「冷戦」は東西陣営が世界レベルで主導権を握ろうと争いながらも直接的な全面衝突には向かわないよう管理した。一方「ホットピース」は、地域的には直接衝突を辞さないが全世界的には広がらない対立だ。ロシアは、ウクライナのクリミア半島併合や２００７年のエストニアに対するサイバー戦争、２００８年のジョージア侵攻などで、軍事的作戦と政治工作、秘密作戦、経済的圧迫、ハードパワーとソフトパワーを結合した多様な手段を動員して自国の利益を貫徹させた。一方、一部の国際政治学者は戦争だけでなく疾病・人権侵害・公害など人類を威嚇する危険から脱却しようとする積極的な共同努力を「ホットピース」と表現したりもする。


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