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【コラム】よくできた演劇のような韓国の結婚式

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2013.07.23 15:41
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一緒に街中の散歩をしていた米国人の友人が突然尋ねた。「ここには、なぜこんなにウェディングドレス店が多いのだろうか?」。周辺を見回すと本当にそうだった。ウェディングドレス・韓服はもちろんハネムーン専門旅行会社まで集まっていた。

ロシア人である私にとって韓国の結婚式は、3つの理由で興味深くて不思議なものだ。最初に、伝統と西欧式要素が入り乱れている。2番目、結婚式がとても早く終わってしまう。3番目、新郎・新婦が構成された脚本通りの行動をしているように見える。

 
伝統と現代が混ざれば新しい形態や状況が生まれるはずだ。今日の韓国の結婚式がそうだ。優雅で鮮やかな韓服の伝統美があって、両親に対する伝統的な礼儀もあって、西欧式の礼服を着た新郎、豪華な新婦のウェディングドレスが新しいハーモニーをつくる。女性たちがこのような結婚式を嫌うわけがない。ドレスも韓服も両方着られるのだから。多分、外国人女性たちにもこのような点は魅力に感じるところだ。

だが新婦は美しいドレスを長く着ていることはできない。準備に注ぐ多くの努力に比べて、結婚式自体を楽しむ時間が長くないのだ。結婚式はわずか40~50分ぐらいで終わる。ロシアの結婚式のお祭りは2日間行われる。その2日間、新婦は祭りに参加したすべての人々の中で最も美しい服を着ているという喜びと自負心を持つ。人生の最も重要な瞬間を長く記憶できるように、楽しく時間を過ごすのだ。韓国で暮らしながら結婚式には10回以上行ってみたが、行くたびにいつも「始めていくらもたたないのに、もう終わる」という物足りなさを感じていた。それと共に「こんなに短い結婚式のために、なぜそんなに長い間苦労しながら準備をしてお金も多く使うのだろうか?」という疑問も出てきた。私が自ら下した結論は「写真を撮るために」だ。とても単純な結論かもしれないが私が行ってみた結婚式の全過程を見守って、そんな考えに至った。どんな結婚式でも、限りなく多くの写真を撮るのは全く同じだった。

韓国の結婚式はとても厳格なシナリオに従って行われるようだ。新郎と新婦が自由に行動できる時間はほとんどないように見える。身なりからヘアスタイル、歩き方や目の動きまで一挙手一投足がカメラで記録される。カメラは冷静で無慈悲だから、失敗したり表情を間違ってつくったりしてはいけないという考えを持つほかないだろう。西洋では面白味ですることも、韓国では写真撮影のために行われる。良い例がブーケ投げだ。西洋結婚式ではブーケを1回だけ投げる。ところが韓国の新婦は写真にうまく写るまで何回も投げる。ひどいときには6回も投げるのを目撃した。ブーケ投げが、韓国の結婚式ではその意味を失っているようだった。

祝い客は劇場舞台で繰り広げられる演劇を見る観覧客のようだ。「私たちの人生は演劇で、私たちはその演劇で自分の役割をしている俳優だ」というシェークスピアの言葉が浮かぶ。だが韓国社会の雰囲気上、結婚式はこのように行われるしかないようで残念だ。職場の同僚や親戚、友人の前で結婚式をうまくやったという事実を証明できるのは写真だけだからだ。

韓国では結婚式はすでに商品化され、経済的にも重要な産業になりつつある。韓国の結婚式商品は海外でも人気を享受している。韓流によって韓国の結婚式はアジア周辺国で有名になり、特に中国人や日本人観光客が韓国の結婚式を体験しにくるほどだ。旅行会社が“韓国ウェディング体験”といった商品もつくったという。韓国女性のようなヘアスタイルにして化粧をしたままウェディングドレスや韓服を着てみることができるプログラムだ。韓国人のビジネスマインドにも驚くが、結婚式という重要な儀式をさらに楽しむことに神経を使えばいいのにという考えも出てくる。

イリーナ・コルグン経済学博士・韓国外国語大学研究教授

(中央SUNDAY第332号)

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