【コラム】韓国アンティーク家具の節制の美
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.11.16 14:02
大学で引退したばかりの有名な現代舞踊家の講演を聞くことがあった。30年間バレエと現代舞踊をやってきた、自身の人生に関する内容だった。講師は講義の最後に「私が自分で振りつけした最後の公演をお見せします」と話した。その映像を見た観客は皆驚いた。公演が進行される間、明確な意図を持って腕だけそっと優雅に動かす以外はほとんど動くことなく椅子に座っているだけだったためだ。舞踊のあらゆる動きと技術を体得した彼女がほとんど不動の姿勢で公演した。私たちが困惑した表情を浮かべると彼女は「理解できますか。舞踊を30年間職業とした結果、このような公演をする資格を得ました」と説明した。
韓国に来てからこの話をしばらく繰り返していた。特に韓国古家具の単純な美に魅了されてから、その舞踊家の話を思い出した。私が暮らしている韓国式家屋の中朝鮮時代の本箱、墨柿の扉付のタンスを見ると共通点がある。欧州や中国の家具を覆っている派手な彫刻は見られない。韓国のアンティーク家具は木本来の美しさを強調するだけだ。桐の豊富なきめ、あるいは墨柿の木から漂う浅い黒い光がその本来の美しい模様を見せている。