【時視各角】「アゲイン2007」を待ちながら=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.10.10 12:10
先週、ワシントンでの韓米自由貿易協定(FTA)交渉を控え、金鉉宗(キム・ヒョンジョン)通商交渉本部長が「業務外」として進めたことが一つある。ジョージタウン大バスケットチームのパトリック・ユーイング監督の自筆サイン入りバスケットボールを確保することだ。敵将のライトハイザー米通商代表部(USTR)代表はジョージタウン大の学部と大学院を出た、誰もが認めるバスケットファンだ。母校のバスケットチームの年間シーズンチケットを毎年必ず確保する。金本部長は今季赴任した往年のスター、ユーイング監督からサインボール2球を受け、ライトハイザー代表と1球ずつ分け合おうとした。日程が合わず実現しなかったが、「警戒心を低める」作戦の一環だった。一方で金本部長は韓国の交渉団に厳命を下した。「米国側と握手を交わす時に絶対に頭を下げたりお辞儀をしないこと」。小さなこと一つでも同等な関係が崩れれば交渉に影響を及ぼすという長い経験のためだった。10年ぶりの「韓米FTA再決闘」はこのようにあらゆる手法とディテールが動員される総力戦だ。
2007年当時、最初のFTA相手国候補は日本だった。しかし金鉉宗本部長は誰も考えていなかった米国に目を向けた。「遠い国と親交を結んで近い国を攻撃する」という「遠交近攻」だった。中国戦国時代に范雎が秦の王に進言した外交戦法。ただ、金本部長は米国と輸出品目が重なるメキシコ・カナダに先に接触した。「相手国の競争国」に触れて相手国を動かす戦略だった。すると消極的だった米国が先に予備協議を提案してきた。結果は韓国の一本勝ちだ。