－－スマートフォン市場では韓国企業が善戦している。ビジネスモデル革新がうまかったと考えるか。

「そうは考えない。サムスンとＬＧのスマートフォンは素晴らしい。だが、サムスンのスマートフォンがたくさん売れるほど金を儲けるのは（アンドロイドＯＳを提供する）グーグルだ。サムスンは先端機器を発売するのに成功したが、根本的に事業方式を変えたのではない。現代と起亜車も同じだ。どの会社も自動車づくりはうまい。だが、これまでのやり方をうまく踏襲したにすぎない。電気自動車と自動運転車市場の覇権を握るのは別の問題だ」

－－ビジネスモデル革新には韓国大企業文化が適していないという指摘も出ている。

「韓国と日本はそのような面で似ている。スタッフは非常に熱心に働くが、意思決定を上司に委ねる。このような文化では破壊的な革新が出てくるのは難しい。もう一つ注目している点は開放性だ。成功したスタートアップの重要な特徴の一つは、創業者グループがさまざまな文化から来たグローバルチームであるという点だ。韓国企業は純血主義から抜け出さなければならない」

－－複数の中国企業の経営にも関与しているとのことだが、中国の文化は違っているか。

「私が取締役である中国の会社２社を挙げても純血主義ではない。理事陣が多国籍で構成されている。取締役たちと積極的にコミュニケーションを取り、彼らの意見を経営に反映する。韓国でも外国人役員を迎え入れようとしているのは知っている。一般化するのは難しいが、私の経験から助言できることがあるとするなら、外国人役員を形を整える（ｄｅｃｏｒａｔｉｏｎ）ために呼んではいけない。意思決定過程に参加させるべきだ。そうでなければみな離れてしまうだろう」

－－韓国でもユニコーンを目指している起業家予備軍が多い。助言するなら。

「韓国のスタートアップ投資に関連して諮問したことがある。その時に受けた印象は、韓国の起業家予備軍は模倣には強いが全く新しいものを提案することには慣れていないという印象だった。もう一つ、ビジネスモデルは革新し続けなければならない。市場を観察してこれを良いアイテムに発展させて終わるものではない。これをどのようにより良いものにしていくのか、常に深く考えてほしい」


＜インタビュー＞「サムスン・ＬＧ、素早く変化しなければシリコンバレーの下請け企業に」（１）