――中国の変化は韓国にも大きな影響を及ぼす。

「中国が経済構造変化にともなう困難を経験しているが、新たな機会も現れている。購買力を備えた中国の中産層が急速に成長している。今後１５年以内に８億人まで増える見通しだ。彼らは高級家電製品のように、より高い水準の消費財を好む。電子・自動車産業のような分野で競争力が強い韓国には良い機会だ」

――原油安も世界経済に主要なリスクになっている。

「原油安で石油輸出国は非常に厳しい状況を迎えている。だが他の側面も見なければならない。韓国のような石油輸入国に原油安は利益をももたらす。原油輸入単価が２～３年前より大幅に低下したためだ」

――米国の金利引き上げが韓国と新興国経済に危機をもたらしかねないという懸念もある。

「米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）の金利引き上げは韓国のような開放経済国に影響を及ぼすさまざまな変数のひとつだ。ある国の経済に影響を及ぼす要素は米国の通貨政策だけでなく為替相場、貿易政策など多様だ。韓国はすでに金融危機のようなさまざまな危機にしっかりと対処した経験がある」

――対外変数が多い状況で現在の東アジアの経済状況はどのように評価するか。

「東アジアは『最も躍動的な地域』だ。ベトナム、カンボジア、フィリピン、ミャンマーのような国は注目するほどの成長を見せている。韓国も同じように持続的に成長している。もちろん中国より成長速度は遅いが、１人当たり所得は３万ドルに迫っている。経済協力開発機関（ＯＥＣＤ）で韓国は最も高い成長率を記録した国のひとつだ。昨年韓国は成長率３％を達成できなかったが、世界銀行はこれを失敗と評価していない」

――韓国は現在構造改革を進めているが、産みの苦しみを味わっている。韓国経済の望ましい構造改革方向は何か。

「アジアの主要トレンドは高齢化だ。労働人口縮小は必然的だ。こうした状況で労働生産性強化は長期的成長のために重要な問題だ。リタイア人口と女性の経済参加を拡大し移民も増やす必要がある。また別の課題は『革新』だ。急速に変化する対外環境に対応するための最先端技術を持たなければならない。経済的躍動性を維持し新たな環境に適応するための柔軟性も備えなければならない」。


「中国８億人の中産層、韓国には機会だ」（１）