【コラム】量的緩和の逆説=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.01.29 11:01
逆説的なのは米国が危機克服の手段として動員した量的緩和措置が逆に新興国には新たな危機の端緒を提供したという点だ。危機克服のための非常手段をかき集めようとする米国の動き自体がその非常手段の甘さに酔っていた新興国には危機の原因になっているのだ。ある国の危機克服が他の国の危機を生む珍現象は世界経済がこれまで一度も経験したことのない新たな様相だ。それでも米国が新興国の危機を防ぐために量的緩和縮小措置を中断するようには見えない。今後量的緩和の縮小規模が拡大すればさらに多くの新興国が危機に陥る公算が大きい。
さらに深刻な問題は新興国が直面している最近の苦境が構造的な脆弱性から始まったのかもしれないということだ。すなわち1990年代半ば以降に世界経済を牽引してきたBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする新興国が成長の限界に達したのではないかという話だ。安い労働力と資源による成長公式がこれ以上通じなくなったが、構造調整と生産性向上による新たな成長動力を見つけられないという弱点が現れているということだ。そうした限界が米国の量的緩和縮小という契機を迎え危機として拡大したとすれば今回の新興国発の危機は思ったよりも深く長期化する恐れがある。