【時視各角】非常な時期には非常な措置を取れ=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.03.12 16:04
沈黙の殺人者といえるかもしれない。肺や血管、脳の中にまで入り込む粒子状物質のことだ。あながち誇張ともいえない。ソウル大学医大環境医学研究所のホン・ユンチョル所長はPM2.5(微小粒子状物質)による国内の早期死亡者数が年間1万1900人という学術論文を発表した。これによって韓国人の平均寿命は6カ月縮んだ。驚きのあまり声も出ない。粒子状物質の吸入で5日内に死亡したり急性疾患にかかったりする人の数も急増しているという。データを扱う専門家の苦悩はそうだとして、2人の子どもを育てている50代半ばの主婦から聞いた心配は切実で体験的だ。「IMF(通貨危機、1997年)の時も、戦争危機説が広がった時もこの国から出ていこうと思ったことはない。だが、粒子状物質はちょっと違う。2世、3世にこのような国に住めとはいえないのでは」。
粒子状物質はたとえるなら「明白かつ現在の危険(the clear and present danger)」に該当する。米最高裁は共同体が「明白かつ現在の危険」に近づくとき、憲法が保障した表現の自由を制限することができるという判決を下した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も「非常な時期には非常な措置を取らなければならない」と言ったが正しい言葉だ。ただし、その非常な措置というものが、長官たちが一斉に学校や街に出て空気浄化機や散水車の運行を点検する形だったのでただ気が抜ける。この時期に取らなければならない非常な措置を挙げるなら、大統領が選挙公約という強迫感で急進的に押し切ろうとしている脱原発政策を廃棄することだ。