北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長が米朝首脳会談のためにシンガポールを訪問している中、核兵器を統制できる「核カバン」を持っているかどうかに注目が集まっている。

核カバンは核兵器統制システムが入ったカバンで、核保有国の首脳が海外歴訪時の核統制のために持ち歩いている。代表的な米国の核カバンは「核のフットボール」だが、米国大統領がホワイトハウスを出るときはいつも共に移動するという。

北朝鮮は今年の新年の挨拶で「核のボタンが私の執務机の上にあるということは威嚇ではない現実」と威嚇した。しかし、核カバンの存在については知らされず、３月と５月に行った２回の訪中の時も、金委員長の随行員のうち核カバンと考えられるほどのカバンを持った人物は確認できなかった。

韓国の国民日報は専門家の話を引用して、北朝鮮が核カバンを製作しなかった可能性が高いとみていると伝えた。核兵器を統制したり運用したりするなどのシステムは、まだ核兵器性能を裏付けるほどのものは構築されていないということだ。また、核カバンを作っていても今回の首脳会談には持ってこなかっただろうとする見方が優勢だ。首脳会談の議題が「非核化」である以上、北朝鮮が自ら疑われるような行動をしないという分析だ。