建物の外には安義士が収監されていた部屋があった。ガイドは「安義士を国事犯に分類した日本が安義士の一挙手一投足を24時間監視するため、看守室のすぐそばに監房を配置した」と説明した。
旅順監獄で安義士が足跡を残したもう一つの現場は、最後を迎えた絞首刑室だった。「控訴せず、堂々と行動を」という母親チョ・マリアの忠告を受け、安義士は命を乞うことはしなかった。1910年3月26日午前10時。安義士の首に縄がかけられた。午前10時10分ごろ安義士はこの世を去った。天主教(カトリック教)の霊名はトーマス。年齢はわずか31歳だった。