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【噴水台】救済不能な性犯罪者に物理的去勢まで要求する心情は理解するが…

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2012.09.09 13:05
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いくつかの正論を述べ漢の皇帝の武帝の怒りを買い生死の岐路に置かれた司馬遷。彼に残された選択は3種類だった。まずは死刑。2番目は金50万銭で死刑を逃れること。3番目は生殖器を切断する宮刑。貧しい官吏にすぎない彼にそのような大金があったわけがない。それでも死を選ぶよりは史書を完成させろという父の遺言が重かった。結局彼は宮刑を選んだ。2100年余り前の話だ。

中国人は司馬遷の選択に感謝しなければならない。彼が人間的侮蔑感と恥辱をこらえることができずいっそ殺してくれと言ったとすれば中国史の永遠の金字塔である「史記」は日の目を見られなかったからだ。紀元前27世紀以後2600年の間の中国の歴史を紀伝体形式で記録した52万6500字には極端な苦痛に勝ち抜いた超人だけが見せることができる人間と世の中に対する奥深い洞察と慧眼が含まれている。生殖器を切る極悪非道な刑罰のおかげで中国は世界に誇れるほどの歴史書を持てたとは皮肉な運命のアイロニーだ。

 
宮刑を復活させようという主張が21世紀の韓国国会から出た。セヌリ党のパク・インスク議員ら国会議員19人が一昨日発議した「性暴行犯罪者の外科的治療に関する法律案」は現代版宮刑を法制化しようという主張と変らない。常習的性暴行犯罪者で更生やリハビリを期待できず再犯の危険が高いと認められる人に対して外科的治療、すなわち物理的去勢を実施しようというものだ。性衝動を起こす男性ホルモンであるテストステロンを生成する睾丸を除去することにより性障害者にしてしまおうというものだ。

すでに導入された化学的去勢は薬の価格も価格だが、効果に根本的限界があるだけに、物理的去勢が性犯罪を根絶する最善策だと彼らは主張する。児童や妊婦まで狙う凶悪な性犯罪が果てなく続く現実を考えれば彼らの心情を理解できないわけではない。「凶器」を永久に除去することが最も効果的と考えることができる。だが、物理的去勢は盗みをすれば手首を切り、嘘をつけば舌を抜こうという話と同じだ。前近代的身体刑の復活で、身体の自由を明示した憲法違反だ。

欧州の一部の国と米国の一部の州で物理的去勢を施行しているが、本人が同意する場合に限る。たいていは化学的去勢と物理的去勢のうちひとつを本人自ら選択するようにしている。本人の意志と関係なく物理的去勢を強制しているのは米テキサス州が唯一だ。米国で死刑を最も頻繁に執行する州でもあるテキサスは死刑執行と強制された物理的去勢のために世界の人権団体から集中糾弾の対象になっている。文明人を自任する私たちが宮刑を復活させるならば司馬遷は地下で何というだろうか。

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