【中央時評】憂鬱な世界1位サムスン電子(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.07.12 08:31
今月4日、サムスン電子は「半導体とディスプレイ分野に37兆ウォンを投資する」というサプライズ発表をした。史上最大という昨年の投資規模(24兆ウォン)を軽く超えるほどの太っ腹投資だ。財界では「そのような天文学的投資は李副会長との交感なくしてはむやみに決断できない」と口をそろえる。だが、イ・ジョンワン・サムスン顧問弁護士の話はちょっと違う。「最近、李副会長は毎週3日裁判を受けている。深夜12時を過ぎて16時間の裁判を受けたりもする。拘置所でも太平洋法務法人弁護士との面会が最優先だ。一般人の面会は一日に一度あるかないかだ」。正常な経営決定は難しいという意味だ。
李副会長の1審裁判は雰囲気が変化している。「証拠はあふれている」という当初の特別検察官(特検)の自信は崩れてしまった。裁判所は、贈収賄罪の「スモーキング・ガン」とされていた安鍾範(アン・ジョンボム)前経済首席の手帳を直接の証拠ではない状況証拠として受け入れた。手帳の証拠能力を疑っているということだ。このように、裁判が決定的な証拠がない状態で両側の退屈な攻防戦へと流れながら、特検が無理な拘束起訴をしてしまったのではないかとの批判が頭をもたげつつある。
サムスン電子は世界1位に上り詰めたが、「今後いつまでトップを守ることができるか分からない」と、憂鬱な雰囲気だ。DRAMはナノ技術でどれくらい微細な回路を作るのか、NANDフラッシュは積層技術を利用してどれくらい多く積むのか次第で競争力が決まる。スピードと時間の戦いだ。半導体の次のバイオや自動車電装のような未来有望事業はさらにそれが激しい。数多くの失敗を甘受しながらも、結果が出るまで長い時間が必要なためだ。社運をかけたオーナーの孤独で果敢な決断が必要だ。
過去10年間、オーナー一家の決断がサムスン電子を今日の世界最高という地位へと導いた。今後5~10年後が問題だ。サムスンは「李副会長がいなくても実績が良いではないか」という誤解に苦しんでいる。ことし1ー3月期の営業利益を減らすために持てる力をふりしぼったのもこのためだ。かろうじて10兆ウォンを下回る9兆9000億ウォンで合わせた。この4-6月期、世界最高企業に君臨しても、たった2行という短い文章の報道資料を出した理由も同じだ。世界1位サムスン電子の悩みが深まっている。
イ・チョルホ/論説主幹
【中央時評】憂鬱な世界1位サムスン電子(1)