事業権をいつ失うかも分からないのに誰が長期的観点で関連投資をして雇用するだろうか。どんな企業が５年後に無用の物になるかも知れない売り場に巨額を投資して入店するだろうか。韓国と競争関係にある中国などの国では今、買収・合併（Ｍ＆Ａ）を通じて免税店事業者が規模と競争力を大きくしているが、韓国の事業者は政府と政界の顔色ばかりうかがって生き残りを心配している。韓国の事業者の競争力が弱まって事業場で雇用不安が生まれるのは火を見るよりも明らかだ。

誤った規制を一日も早く市場親和的に直し、韓国企業のグローバル競争力の弱体化を防がなければならない。例えば免税店の「５年時限法」は、関税法を直ちに改正して希望する事業者は全て参入できるように許可制ではなく登録制に変えなければならない。またあいまいな選定基準によって審査から落とされた免税事業者にも再起の機会を与えるのが公正だろう。

２つ目、韓国企業のグローバル競争力を弱体化させている企業自らの要因としては、「すばやい追撃者（ファスト・フォロワー、ｆａｓｔ　ｆｏｌｌｏｗｅｒ）」戦略でグローバル競争力を確保した企業が既存市場の拡大と防衛に注力して先導型企業（ファースト・ムーバー、ｆｉｒｓｔ　ｍｏｖｅｒ）へと飛躍する時を逃した点を挙げられるはずだ。技術発展と革新が速いスピードで行われる現在の企業環境で、先導企業として飛躍するためには開放性に土台を置いた強力なパートナーシップやＭ＆Ａを通した中核技術の確保が必須だが、韓国企業は閉鎖された内部化を通した追撃型の研究開発（Ｒ＆Ｄ）戦略により重点を置いてきた。

中国企業らの追撃が足元まで迫ってきた現状況で、過去の慣性に沿ったファスト・フォロワー戦略では、これ以上競争力を高めることはできない。開放性に土台を置いた先導型なＲ＆Ｄ戦略と、柔軟な組織を作ることに努力を集中しなければならないだろう。このような観点で最近のサムスン電子の戦略的な転換は鼓舞的だ。

今からでも政界・政府・企業がそろって韓国企業のグローバル競争力向上のために総力を挙げなければならない。そうでなければ私たちの世代はもちろん子孫にも経済的により良い未来はないだろう。


韓経：【コラム突運動圏パラダイムにとらわれた韓国経済（１）