8年前の国会の誤った判断が招く「賠償津波」=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2013.12.06 14:26
事件が多く事案がぼう大なために、過去の歴史被害補償の有無を法廷で決めることが妥当なのかについての疑問も提起されている。外国の場合、過去の公権力による被害は政府が謝罪して財団や基金を作って一括的に賠償するのが一般的だ。ナチスの被害が大きかったドイツ、軍部統治を経験した南米のアルゼンチン・チリなどがそうだ。韓国内では1990年に制定された「5・18民主化運動関連者補償法」が代表的だ。この法によりこれまで4600人余りに2000億ウォンほどの補償金が支給された。
だが、過去の歴史整理作業の決定版だった「真実和解のための過去の歴史整理基本法」には賠償関連の内容が抜けていた。初めは政府も委員会レベルの一律的な賠償を検討した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は2005年8月15日の慶祝辞で「国家が率先して真相を明らかにして賠償や補償責任を全うする」と念を押した。だが当時与党だった「開かれたウリ党」は「すべての事件被害者に補償すれば国が滅びる」として基本法による賠償をあきらめた。
このために国の不法行為を認められた被害者が裁判所に集まり、結果的に国の支出はさらに増えた。裁判所が通常の不法行為にともなう損害賠償訴訟方式で裁判を行う中で、一部の被害者に数十億ウォンずつ支払えとの判決を下しているからだ。後から最高裁全員合議体が判例を変更したが、初期には利子だけで100億ウォンを超える事件もあった。
司法的安定性が崩れたという主張も侮れない。ソウル高等検察庁のチェ・チャンホ検事は「数十年前の不法行為に対する賠償責任を今になって認める場合、時効が過ぎたほかの事件にも影響を及ぼしかねない」と主張した。
今でも国会がこの問題を立法的に解決すべきだという声が大きくなる理由だ。大邱(テグ)地方裁判所11民事部のクォン・スンタク部長判事は昨年末、慶尚北道漆谷(キョンサンブクド・チルゴク)地域の「保導連盟」の犠牲者遺族96人が出した訴訟を棄却して「すでに歴史となった過去を現在の価値観で評価するのは司法万能主義を招く」と明らかにした。
現在、国会には国の不法行為についての国家賠償を規定する法律が数件挙げられたままだ。朴槿恵(パク・クネ)大統領が議員時期の最後に発議に参加した「緊急措置の被害者補償法案」が代表的だ。だが昨年11月26日に発議されたこの法案は、1年間審議さえ行われなかった。その間に被害者が出した訴訟は判決を控えている。
8年前の国会の誤った判断が招く「賠償津波」=韓国(1)