中国のテレビドキュメンタリー番組『大国崛起』は、近代以降の世界の９つの強大国（ポルトガル・スペイン・オランダ・英国・フランス・ドイツ・日本・ロシア・米国）の成功要因を扱った。ほとんどが韓国よりも領土や人口規模が大きい国だが、例外がある。まさにオランダである。この国は面積が韓国の半分しかなく、国土の相当部分が海水面よりも低い。曇の日が多く日照量も不足している。農業をするには劣悪な自然条件だ。だがオランダは、米国に続き農食品輸出が世界２位の農業大国だ。チューリップなど花の輸出は世界１位、野菜・果物は世界３位だ。農業大国オランダを作ったのは広くて肥沃な土地ではない。絶えず研究して切り開いてきたオランダ農民だ。

政府が苦心の末にコメの関税化を決めた。今やコメの関税化を猶予している国は、世界でフィリピンが唯一だ。２０年前にコメの関税化を猶予した時に比べて韓国の農業条件は相当変わった。農業でコメの比重は２０年前の２８％から現在は１７％へと大幅に低下した。一部の主張のように、コメの関税化で輸入米が押し寄せてくることはないものと見られる。韓国より先にコメの関税化をした日本や台湾も、義務輸入物量以外の輸入量はわずかな水準だ。

韓国農業経営者中央連合会・コメ専業農中央会など多くの農家団体や農家も、関税化の不可避性を否認はしない。ただし農業界は、高率関税の賦課など被害を最小化する対策を要求している。政府は最近、意見の取りまとめのために全国農民会総連盟（全農）など農民団体が参加した「コメ産業発展協議会」をスタートさせた。コメの関税化に反対する全農まで参加しているのだから、コメ産業対策だけでなく韓国の農業全体の生きる道を議論する場にならなければならない。

これからの韓国の農業界は、コメの関税化を危機としてのみ見るのではなく、農食品輸出を増やす機会にしなければならない。すでに一部の農家や地域農協は農食品の輸出において注目するほどの成果を見せている。

昨年、忠清南道（チュンチョンナムド）の舒川（ソチョン）農協などはコメ１７０万ドル分を豪州などに輸出した。中国と衛生検疫協定が締結されれば、より多くのコメを輸出できる。中国はコメの純輸入国であるためだ。高品質のコメは数千万人の中国富裕層が好むので、韓国も挑戦してみる価値がある。

韓国の草花、果物、野菜やキノコなど特用作物も競争力がある。京畿道高陽市（キョンギド・コヤンシ）には昨年、１００万ドル分のバラをロシアなどに輸出した農家がある。慶尚南道金海（キョンサンナムド・キムヘ）の大東（テドン）農協は、日本に１８００万ドル分のユリ・バラなどを輸出した。晋州（チンジュ）の水谷（スゴク）農協は今年、イチゴ１０００万ドル分を輸出する計画だ。慶尚北道清道（キョンサンブクド・チョンド）の営農法人グリーンピースは昨年、米国などにキノコ１７００万ドルを輸出した。


【時論】韓国のコメの関税化、農食品の輸出で突破口を（２）