「失業すればどうしようかって？　心配する必要はありません。私どもが車を買い戻します」。

０９年１月２日に米自動車業界を驚かせた現代（ヒョンデ）自動車の広告だった。金融危機で委縮した消費者の心理を突いたこの広告で、現代車は米国消費者の心をつかんだ。

当時このアイデアを出したのは、現代車専属の金融機関「現代キャピタルアメリカ（ＨＣＡ）」の現地職員だった。ＨＣＡがアイデアを出すと、現代車アメリカ（ＨＭＡ）は直ちに３０００余人の顧客に質問した。反応は良かった。ＨＣＡとＨＭＡのマーケティング部署は話し合い、３７日後にテレビ広告を出した。

０４年から現代車旋風を起こしているＨＭＡのジョン・クラフチック最高経営責任者（ＣＥＯ）は「業界ではこの広告例は‘現代スピード’として知られている」とし「ＨＣＡがなかったとすれば想像できない成功作だった」と説明した。

米カリフォルニア州オレンジカウンティで最大の自動車販売団地ツーソン。ここで現代車のディーラーをしているパターソン氏は来月移転する。すでに一度移転したが、売り場が狭いため付近の建物にまた移ることになった。パターソン氏は「１年半前は月１２台を販売したが、今は供給さえ追いつけば月２００台を売る自信がある」と述べた。

パターソン氏は米国で起きている現代車ブームの秘訣に品質・マーケティングとＨＣＡの存在を挙げた。現金購入比率が全体の４０％を超える韓国とは違い、米国では分割・リース比率が８０％を超える。経済的な顧客であるほどリースを好む。新車に２－３年乗り、新しいモデルが出れば乗り換えやすいからだ。自動車ローンの競争力が車の販売を左右するほどだ。

現代車も１９８９年に専属の金融会社を設立した。ところが当時の現代車は低価格戦略に力を注ぐしかなかった。自動車ローンを利用できるほど信用度が高い顧客が多くなかったからだ。


米国市場で現代車がヒットした秘訣は…（２）