【中央時評】北朝鮮の危機、北朝鮮の機会(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.10.09 14:46
1990年代の北朝鮮の経済危機は北朝鮮を貿易と市場に向かわせた。社会主義経済を放棄しない北朝鮮政権も、生きるためにやむを得ず貿易と市場という市場経済的な巣に自身を委ねた。しかしこの巣は北朝鮮経済の生きる道であると同時に危機の震源地だ。
今後、北朝鮮は中国発の貿易需要減少という危機に直面するだろう。北朝鮮の地下資源の最大需要先は中国だ。韓国開発研究院(KDI)のイ・ジョンギュ博士の研究によると、2013年の北朝鮮の輸出品トップである無煙炭は中国の無煙炭輸入全体の42%を占め、これは景気敏感業種である中国の鉄鋼生産企業に主に供給された。しかし中国の景気下降はすでに既成事実となっている。その結果、2014年1-8月の統計によると、北朝鮮の対中国無煙炭輸出は前年同期比19%も減少した。これまで増加してきた朝中貿易規模も今年は停滞状態にとどまり、今後減少する可能性が高い。朝中取引の減少は北朝鮮の食糧と消費財輸入だけでなく、北朝鮮に流入する現金を減らす。中国がくしゃみをすれば韓国が風邪をひく程度なら、北朝鮮は倒れてしまう状況になるだろう。
貿易の減少で市場での消費財供給が減り、市場活動で金を稼いできた家計の所得が減少すれば、北朝鮮住民の不満が高まる。今の北朝鮮住民は開放の効果を知らなかった90年代とは違う。そしてさらに恐ろしいのは貧困そのものより、ウォーターパークを楽しむような生活をしてきた後に貧しくなる時だ。
北朝鮮が直面する危機を克服する道は改革と南北交流の活性化だ。まず北朝鮮は外部から入るお金を現在のようにスキー場など誇示用の事業に使わず、生産活動のための資本として活用しなければならない。そのために北朝鮮は私企業の創業と活動の自由を許諾しなければならない。そして製造業種の輸出中心私企業を起こし、その利潤を再投資してこそ、北朝鮮経済が回復する。また、韓国との経済交流協力を強化する必要がある。これを通じて対中貿易依存度を減らし、熟練度を高めながら技術と戦略を学び、高付加価値を創出する輸出企業を育てなければならない。北朝鮮幹部の仁川アジア競技大会閉会式出席が危機を機会に変える転換点になることを期待する。
キム・ビョンヨン/ソウル大教授・経済学部
【中央時評】北朝鮮の危機、北朝鮮の機会(1)