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「北朝鮮が優先?」 怒る国民を背に金正恩をもてなす韓国政府(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.11.14 14:27
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済州(チェジュ)産ミカンが北朝鮮に行った。200トンの量で、10キロの箱が2万個だ。厳重に準備作業が進められ、今週初めの北朝鮮輸送には空軍機までが動員され、「軍事作戦」をほうふつさせた。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は9月の南北首脳会談当時に北朝鮮側がマツタケを送ってきたことに対する答礼にすぎないとし、拡大解釈を警戒している。暖かい島の済州のミカンを通じて、南側の同胞の心が北朝鮮住民に伝わるだろうという期待感も表した。果たしてそうだろうか。対北朝鮮ミカン支援をめぐる論争から文在寅(ムン・ジェイン)政権の対北朝鮮接近方式の問題点と南北関係の現状を探ってみる。

北朝鮮に対するミカン支援は今回が初めてというわけではない。南北首脳会談のきっかけを作るために注力した金大中(キム・デジュン)政権が執権翌年の1999年初め、済州産ミカンを北朝鮮側に送った。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時まで10年間にわたり送られた量はミカン4万8328トンほどだ。済州産ニンジン1万8100トンも北朝鮮に渡った。北朝鮮で「神秘的な島」と見なされる済州の風味を北朝鮮の同胞に伝え、南北和解・協力の気運も高まるという趣旨でだ。ミカンの購入と輸送費に230億ウォン(約23億円)の国民の税金が投入された。

 
しかし韓国側の対北朝鮮情報機関で平壌(ピョンヤン)内部の異常な兆候が確認された。送られたミカンの大半が労働党と軍部をはじめとする権力機関と特権層に流れていくという諜報だった。金正日(キム・ジョンイル)総書記(2011年死去)が忠誠を誘導するために贈り物として供給しているという情報もあった。ニンジンの場合、労働党幹部の食堂に流れてジュースや料理に使われたという。このような動きを確認した国家情報院は李明博(イ・ミョンバク)政権に入ると青瓦台にこれを報告し、結局、対北朝鮮支援は中断した。統一部の当局者は「当時、済州出身だった玄仁沢(ヒョン・インテク)統一部長官も国家情報院側の具体的な情報を通じて事態の深刻性を把握し、これ以上ミカンを北に送るのは無意味だという決定を出した」と伝えた。

こうした北朝鮮の前歴のため今回の対北朝鮮ミカン支援についても懸念が提起される。金正恩政権がまたミカンを特権層に流すのではないかということだ。青瓦台の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は大規模な支援が電撃的に行われたことについて「大量に送り、できるだけ多くの北の住民が味わうようにしようという気持ちを込めた」と主張する。しかしこうした期待に北朝鮮が応じる可能性は低いというのが、対北朝鮮情報関係者の伝言だ。ある脱北者も「北の当局がミカンを一般住民に配るというのは想像しにくい」と話した。北朝鮮がどのように分配したかは全く把握されていない。統一部は「北側がよく判断して活用すると考える」という立場だ。

北朝鮮宣伝メディアは韓国側の済州産ミカン支援について沈黙している。統一部は一昨日の記者会見で「北のメッセージや反応はなかった」と明らかにした。北朝鮮に送られたミカンはいかなる表記もない白のボックスに入れられた。説明を聞かない限り、韓国から送られてきたミカンということは分からない。これをめぐり「済州産」という表示とミカンの写真が入った包装のまま北朝鮮に送るべきだったという指摘が出ている。過去の対北朝鮮コメ支援は韓国の国民が税金で北朝鮮の同胞のために送ったという点を知らせるため40キロ用の袋に「大韓民国」という文字を大きく入れた。「白紙包装」は北朝鮮に対する行き過ぎた配慮という批判が提起される理由だ。

対北朝鮮輸送に韓国軍を動員した点も不適切だったという声が軍の内外から出ている。11日から2日間の輸送作戦には空軍C-130輸送機4機が投入された。特権層への転用が韓国情報当局によって確認されたことがあり論議を呼ぶ可能性もあるため、軍の運送装備と将兵を前に出したのは不適切だった。青瓦台と政府は民航機の利用が難しい対北朝鮮制裁状況では避けられなかったと主張する。しかし民間トラックを利用して板門店(パンムンジョム)陸路で運ぶ方法があったにもかかわらず軍を介入させたのは批判を受ける余地がある。大韓民国の国軍の地位と将兵のプライドを少しでも考えていれば、軍首脳部が立場を明確にしておくべきだったという声も内外から出ている。

国防部に対する批判も提起される。「気概のあるエリート将校は将官進級前にほとんど軍の外に追い出された」という佐官級将校の言葉は、政権に振り回される韓国軍の断面を見せている。盧武鉉政権当時、ある外交安保の幹部が「軍高位層の掌握は難しいと思っていたが杞憂だった。進級と職務で揺さぶったところ誰もが低姿勢になってついてきた」と語ったことを思い出す。9月の南北首脳会談に随行した当時、国防長官が金正恩委員長の済州訪問問題が話題になると「海兵隊を動員して漢拏山(ハルラサン)にヘリコプター着陸地をつくる」と述べたのは序幕にすぎないという思いになる。


「北朝鮮が優先?」 怒る国民を背に金正恩をもてなす韓国政府(2)

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