輸入業者のイ・チュンスさん(55、仮名)は4月、これまでやってきたタデギ(トウガラシやニンニクなどで作ったペースト状の調味料)の輸入を中断した。食品医薬品安全庁が5月からタデギのようなトウガラシ含有食品への天然色素使用を禁止したためだ。しかし5月以降も国内市場には依然として色素を混ぜた粉末トウガラシがあふれている。食品医薬品安全庁が取り締まっていないためだ。今年9月までに中国から輸入されたタデギは3万7010トンだが、粉末トウガラシは300トンにすぎなかった。
食品医薬品安全庁の担当者は、「パプリカ色素とトウガラシの成分が同じで分析する方法がない」との説明を繰り返している。イさんは「色素を入れたタデギは目でも区別できる。法を守る業者だけが損をするならだれが政府の政策を信じるのか」と話す。食品医薬品安全庁が規制案を発表しておきながら取り締りをしていないかと思えば、法律違反の程度が同程度の業者に対し相反する行政処分を下して公平性の議論が起きている。ひどいケースでは重金属を含有する不良漢方薬剤を輸入・製造した業者を漢方薬剤品質検査機関に指定していた。しかし関連業界はなにも言えなかった。食品医薬品安全庁は食品・医薬品の許認可だけでなく、監督権まで持っているためだ。