韓国の康京和（カン・ギョンファ）外交部長官が６日、フィリピン・マニラで開催された東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）関連の外相会議にデビューし、中国の王毅外相との神経戦を見せた。韓国が高高度防衛ミサイル（ＴＨＡＡＤ）を完全配備することに対し、王外相は「改善されつつある両国関係に冷や水を浴びせたのは遺憾」と述べると、康長官も「防御的な決断」と返した。

この日の韓中外相会談で王外相は「文大統領が就任後、過去の間違った行動を変えようとする意思を見せ、中国側の正当な関心事項を配慮する行動を見せた。しかし先月２８日に韓国政府が急いでＴＨＡＡＤ配備を決めたことはやむを得ず指摘しなければいけない」と述べた。そして「冷や水」「遺憾」などの発言をした。

王外相の発言を聞いた康長官は「最近、北の追加のミサイル挑発によって脅威が非常に強まっているのが実情」とし「国民の懸念と心配が深まった中で大統領が防御的レベルで下した決断」と応酬した。会談は両外相が宿泊しているマニラのコンラードホテルで行われた。会談が始まる前、康長官と王外相は太極旗（韓国の国旗）と五星紅旗の前に立って握手を交わした。王外相は硬い表情を見せ、康長官も微笑だけを浮かべた淡々とした表情だった。

会談の冒頭で王外相が発言をする時、康長官は無表情で傾聴した。王外相も笑顔なく康長官の発言を聞いた。

５５分間の会談後、両外相は自国の記者団に内容を伝えた。康長官は「中国はＴＨＡＡＤに対する基本的立場を繰り返し、私たちは北の高度化する挑発状況で臨時にＴＨＡＡＤ発射台４基を配備することになった背景を十分に説明した」と述べた。

王外相は「『ＴＨＡＡＤが大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）を防げるのか』という問題を康長官に提起した」とし「韓国が米国主導のミサイル防衛（ＭＤ）に加担することが韓国の利益に合うのか、韓国国民が受け入れることができるのかと話した」と説明した。会談に同席した当局者は「康長官は、ＩＣＢＭ級の発射は我々の安保に対する脅威がさらに現実化し、具体化したという点、ＴＨＡＡＤはＭＤ編入でないという点を説明した」と伝えた。

康長官は王外相との会談前、ティラーソン米国務長官に会った。

国連安全保障理事会が採択した新しい対北朝鮮制裁決議２３７１号に関し、ティラーソン長官は記者らに「非常に良い結果が出た」と述べ、康長官は「導出する過程で私たちと完全な協議をしたことについて（米国側に）感謝する」と話した。ティラーソン長官は決議履行の重要性を強調しながらｉｍｐｌｅｍｅｎｔ（遵守する）よりｅｎｆｏｒｃｅ（執行する）という言葉を主に使用したという。

政府当局者は「中国とロシアを牽引することが重要だということに双方が同意し、ティラーソン長官は『米韓日の連携が強い時、中露も誤った判断をしない』と強調した」と伝えた。

康長官とティラーソン長官は対北朝鮮抑止力を強化するレベルで韓米ミサイル指針改定交渉も早期に始めることで合意した。双方はミサイル指針改定を通じて射程距離８００キロのミサイルに搭載できる弾頭最大重量を現在の倍の１トン以上に増やす案を推進している。

また韓米は拡張抑止戦略協議体（ＥＤＳＣＧ）の定例化のための実務協議も加速することにした。ティラーソン長官は、韓国政府が先月２８日の北朝鮮のＩＣＢＭ級挑発後にＴＨＡＡＤ発射台４基を追加で臨時配備することを決めたことに対し、「重大な措置を取った」と評価した。