クリストファー・ヒル元駐韓米国大使は、「韓国・日本の核武装を認めて駐留米軍を撤退させることも可能だ」というドナルド・トランプ氏の主張に対し、「本当に愚かな話」と批判した。トランプ氏のこうした主張は、米国内で外交安保専門家を中心に激しい批判を受けてきた。ヒル元大使も中央日報の電話インタビューで「愚かだ」という表現を繰り返しながらトランプ氏の主張を一蹴した。ヒル元大使は「トランプは自分が話していることが何を意味するのか分かっていないという点を韓国が理解するべき」とも助言した。以下は一問一答。

－－防衛費分担金を増やさなければ在韓米軍と在日米軍を撤退させるというトランプ氏の主張をどう思うか。

「トランプは韓米同盟と日米同盟が何かということを理解していない。このような主張自体が米国の利益に反する。本当に愚かな主張だ」

－－韓国・日本の核武装を認めるという発言が論争を呼んだ。

「愚かだというだけでなく衝撃的だ。これはトランプが過去７０年間の米国の核政策が何かを全く理解していないことを示している。韓国と日本は核拡散防止条約（ＮＰＴ）加盟国ではないのか。核兵器を保有しない代わりに世界の多くの国と核分野で協力してきた。核保有は両国と全世界の核協力を脅かすうえ、域内に核拡散を招く」

－－トランプ氏は韓国が安保に無賃乗車していると主張する。

「そうではない。矛盾する主張だ。ワシントンでは話が通じる人のうち誰もこういう立場に同意しない。トランプはある日は韓国と日本を非難し、次の日には女性を侮辱する」

－－しかし有権者からかなりの支持を受けている。

「そのような支持を受けることが残念だ。トランプ支持は主に職場を失った人たちから生じているが、この人たちはトランプが何か職場を取り戻してくれると思っている。米国経済が再編される過程で追い出されるのではと恐れる人たちがトランプの支持層だと見ている」

－－トランプ氏の主張に関連して韓国に助言するなら。

「韓国はしっかりとした国であり、国際社会でも落ち着いて行動してきた。もしトランプの主張が重要であり多くの人々が念頭に置く問題なら、韓国政府が対応を考えることもあるだろう。しかしトランプの主張は大きな支持を受けているわけではない。韓国が対応し、それによってトランプを重要な人物にする必要はない。ただ無視するべきだと考える」

－－今後の米国大統領選の見通しは。

「私の印象ではヒラリー・クリントンが最もよく準備ができている。しかし誰になるかは１１月まで分からない。今回の大統領選挙は特に米国人にとって頭が痛いので、アスピリンをたくさん準備しなければいけないようだ」