【取材日記】朴前大統領の足跡だから無条件に消す?

【取材日記】朴前大統領の足跡だから無条件に消す?

2017年03月20日16時29分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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朴前大統領の揮毫が刻まれた石碑に撤去を要求する市民戒告状が貼られている。
  罷免された朴槿恵(パク・クネ)前大統領の親筆揮毫石碑をめぐり世宗(セジョン)特別自治市周辺では論争が起きている。石碑は2015年7月と2016年1月、それぞれ世宗市庁舎と大統領記録館(世宗市所在)に設置された。

  世宗市民は「憲法をじゅうりんした朴前大統領の石碑をそのまま置くこと自体が市民を冒とくすることだ」とし「恥ずかしい歴史の跡は消さなければいけない」と主張する。

  罷免の前にも朴前大統領と関係があるものを消そうという動きはあった。昨年12月には慶尚北道亀尾(クミ)にある朴正熙(パク・ジョンヒ)前大統領の生家が放火にあった。朴前大統領の蔚山大王岩(デワンアム)公園訪問(昨年7月)を記念して設置された案内板の朴前大統領の写真を誰かが毀損すると、蔚山東区は案内板を撤去した。

  功過論争がある政治家の足跡を消す事例は海外にもある。昨年1月に中国河南省開封で毛沢東の銅像が完工を控えて撤去された。毛沢東が発動した「大躍進運動」の最大被害地域が河南省だったという理由のためだった。

  しかし恥ずかしい歴史という理由でなくすべきかどうかは冷静に考えてみる必要がある。ソウル鍾路区橋北洞(キョブクドン)の独立門に刻まれた「独立門」の文字は親日派の李完用(イ・ワンヨン)の親筆だ。ソウル松坡区(ソンパグ)にある三田渡碑(史跡101号)は丙子胡乱当時に仁祖が南漢山城(ナムハンサンソン)で降伏したことを記念するために清の太宗が設置した石碑だ。恥ずかしい過去を消すのなら、こういうものからなくさなければいけない。

  ウォーターゲート事件で弾劾危機を迎え自ら退いた米国のニクソン大統領は当時、激しい非難を受けたが、記念館は縁故地域に今も残っている。米国には元大統領が残した文字などを記録として残す伝統がある。

  世宗市に設置された朴前大統領の石碑も広い意味で見ると大統領の統治の跡であり記録と見ることができる。ファン・ビョンウ韓国文化遺産政策研究所長は「元大統領が残したもののうち、肯定的に記念することではなくても、繰り返してはならない歴史的な教訓として残すことも必要だ」と述べた。

  行政首都の移転と世宗市誕生の過程で朴前大統領のポピュリズム的な姿が論議を呼んだりもした。在任の4年間に朴前大統領の不適切な行為が国民の胸に残した傷は到底言い表すことができない。実際、憲法裁判所は10日、「(朴前大統領の)憲法と法律に背く行為は在任期間全般にわたってあった」と指摘した。

  だからといって「正しい過去」だけを残して「過ちの過去」を消してもかまわないのだろうか。記録がなければ歴史もなく未来もないだろう。

  キム・バンヒョン/ナショナル部記者
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