＃赤字２００万ドルのヤフーに１億ドル投資

１９９４年７月のソフトバンク株式公開から１年６カ月間、私は米国で３１億ドル規模の合併・買収（Ｍ＆Ａ）を行った。 このおかげで世界最大ＩＴ展示・出版グループの首長になった。 しかし私としては、ようやくインターネット世界で生きていくための地図と羅針盤を手にしたという考えだった。

９５年秋、買収したばかりのジフデービス出版部門のエリック・ヒッポー社長に注文した。 「インターネット時代が本格化すれば欠かせない会社に投資したい。 ジフデービスの情報力を動員して物色してほしい」。彼はここぞとばかりに会社を推薦した。 「ヤフーというベンチャーがあります。 創業から半年しか経っていませんが、とても有望です。 シリコンバレーの最も信頼できるベンチャー投資会社セコイアキャピタルがすでに２００万ドルを投資しています」。

ヤフー。 ついに‘宝物’を発見したのだ。私はすぐにヤフーがあるカリフォルニアに飛んだ。 共同創業者のジェリー・ヤンとデビッド・ファイロ、数人の職員が遅くまで仕事に没頭していた。 私たちはコーラとピザを注文し、食事をしながら対話した。 １０歳の時に台湾から米国に移民したというジェリー・ヤンと特に気が合った。 私はすぐに投資を決定した。 まず５％の株式を確保した。

実際のところ、ヤフーの大株主になることを望んだ。 しかし障害が多かった。 創業者らも株主も、私が巨額を投資して大株主になることを望まなかった。 主導権を譲り渡したくなかったのだ。

私は彼らを説得することにした。 翌年１月、またジェリー・ヤンに会って懇々と話した。

「インターネットビジネスは先行獲得が重要です。 ライコス、ＡＯＬのようなライバルが続々と出てきています。 一日も早くより大きな資本でグローバル市場を攻略しなければいけません。 日本をはじめとするアジア市場は私が責任を取ります。 またコムデックスとジフデービスを通じてあらゆる支援を惜しみません」。

長い交渉の末、結局、私の意志を貫徹できた。 １億ドルをさらに投資し、ヤフーの２９％の株式を追加で確保するのに成功した。 取引を完了する前、私はマイクロソフト（ＭＳ）のビル・ゲイツ、ネットスケープのジム・クラーク、シスコのジョン・チェンバーズ、サンマイクロシステムズのスコット・マクニーリ最高経営責任者（ＣＥＯ）に電子メールを送った。 「ヤフーの大株主になろうと思う。 もしあなた方のうち一人でも強く反対するのならあきらめる。 意見がほしい」という内容だった。

私はＩＴ業界の仕組みをよく知っていた。 その後のさまざまなビジネスのために、こうした大物と対立するような状況は避けたかった。 幸い、全員が私の投資にＯＫサインを送ってくれた。 当時、ヤフーは年間売上高１００万ドルに赤字が２００万ドルの小さな会社だった。 そのヤフーがわずか１、２年後、世界インターネット市場を席巻するということを、彼らは誰も考えていなかっただろう。

投資事実が知られると、米国メディアは私を‘日本から来たバブル男’と皮肉った。 私は気にしなかった。 むしろ急いで日本にヤフージャパンを設立した。 ソフトバンクが５１％、ヤフー本社が４９％の株式を保有する合弁会社だった。 私はヤフージャパンをアジア最大のインターネットポータルにする自信があった。 実際、ヤフージャパンはサービスを開始するやいなや旋風を巻き起こした。


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