韓経:【時論】「できない国」に陥る大韓民国

韓経:【時論】「できない国」に陥る大韓民国

2016年08月04日09時18分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
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  数カ月前に韓国経済研究院が主催した規制改革セミナーで、チェ・ジンウク高麗(コリョ)大学教授は「労働・企業・金融規制を10%程度緩和すれば成長率が1.5%増加する」と発表した。低成長を打開するために追加予算まで毎年編成しなければならない状況で、お金をかけずに成長率を高めることさえできるならばこんなに良い政策はないだろう。だが歴代政権で規制緩和を叫んでも特に変わっていない。

  最近、経済を固く締めつけている規制事例は日増しに増えている。政府のフィンテック産業育成方針にも国内のフィンテック企業は数年前のカード会社顧客情報流出事件で強化された個人情報保護関連の規制によって国内では営業を活性化しにくい状況だ。それでも政府と国会は規制緩和に対して動きの遅い姿勢を見せており、一部の企業は海外で営業を試みている。人工知能(AI)やフィンテック技術を活用して新しいサービスや商品を開発した企業が増えているが、規制や公務員らの伏地不動(身を伏せて動かないこと)を見せて施行できない事例も多い。特に一部の公務員は新しいサービスが国民便益を高めることを分かっていながらも該当企業を優遇したという余計な誤解を受けたくないために躊躇しているという話だ。

  先日、金融委員会は単独庁舎から光化門(クァンファムン)政府ソウル庁舎に引っ越した。金融委といつも業務協議をしてきた金融監督院と金融会社の社員らは引っ越し後、金融委との意思疎通に困難を経験していると訴えている。前回、政府総合庁舎のセキュリティーが破られた後、庁舎の出入り規制を青瓦台(チョンワデ、大統領府)水準で強化したためだ。このように何か事故が起きるたびに臨機対応式の規制と統制を繰り返してきた結果、規制緩和の努力にもかかわらず核心規制は増えており政府と民間の意思疎通はますます難しくなっている。

  数日前、ある部署は国民生活と直結する政策を発表した。問題は国民の大部分が政策の実行の可能性を信じていないという点だ。「多数与党」の第19代国会の4年間ずっと政府政策の相当数が野党の反対で施行されなかったのに、ましてや「少数与党」の第20代国会では一層難しいと思うからだ。政府の発表だけを信じて投資や事業を準備してきた国民だけが損害をこうむった。

  大韓民国は「なせばなる」「できる」精神で経済の奇跡を実現した国だ。このような大韓民国が先進国の門の敷居で「できない国」のどん底に陥っている。この頃、新聞やテレビでは経済に否定的なニュースがあふれ出ている。過去数十年間にわたり経済成長を主導してきた大企業は、トップの不正捜査や経済民主化の名分のもとに量産されている規制立法ですっかり縮こまっている。北朝鮮の核開発とミサイル発射で国家安保が深刻な脅威を受けている状況でもTHAAD(高高度ミサイル防衛)体系配備に関連して国論は分裂しており摩擦を調停しなければならない政界はかえって対立をそそのかす。

  国全体が国家利益よりも地域の利益主義に振り回されて「自分のせいより他人のせい」が横行している社会では、経済が萎縮して国政が漂流するほかはない。ブレグジッド(英国の欧州連合脱退)と4次産業革命で見るように今、大韓民国を囲む周辺環境は急激に変わっている。改革と革新を遅らせれば、あっという間に世界経済の辺境へと押し出される。

  数日前、憲法裁判所は「金英蘭(キム・ヨンラン)法(不正請託及び金品等授受の禁止に関する法律)」が経済には短期的な萎縮を与えても韓国社会の不正腐敗と接待文化の改善に大きく寄与するだろうという趣旨で合憲決定を出した。この法の施行で直ちに農漁業従事者や飲食店が受ける被害よりも恐ろしいのは、冬の王国(映画『アナと雪の女王』から)のように韓国社会全般において伏地不動と不通、不信を深刻化させるという憂慮だ。「とりあえず施行してみて問題点があれば補完しよう」という主張は現状況の切迫さへの認識不足に映って「牛無くして牛小屋を直す」ことと別段違わない。いくら良い趣旨の制度でも問題が予想されるならば徹底的に補完して施行することが、正しい国家であり先進国だ。

  クォン・ヒョクセ法務法人ユルチョン顧問・元金融監督院長
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