<Mr.ミリタリー>北朝鮮が核武装国なったのに…非核化交渉は引き続き疑問符(1)

<Mr.ミリタリー>北朝鮮が核武装国なったのに…非核化交渉は引き続き疑問符(1)

2018年07月09日16時02分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  北朝鮮の完全な非核化に関連するすべてのメッセージが否定的だ。北朝鮮はCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄)に反対し、米国はこれを受け入れた。核廃棄期間がどれくらいかかるのか不透明になった。こうした中、北朝鮮の核弾頭は3倍以上に増え、北朝鮮は攻勢的核戦略を駆使する見通しだ。訪朝中のマイク・ポンペオ米国務長官の非核化任務はブロックバスター映画『ミッション:インポッシブル』で主演トム・クルーズ扮するイーサン・ハントのそれより難しいという言葉が米国から出ている。北朝鮮非核化交渉が序盤から横へ反れていっているような雰囲気だ。

  新しく明らかになった北朝鮮の核能力は衝撃的だ。しかしこの衝撃は開始に過ぎない。米国防情報局(DIA)を引用したワシントン・ポスト(WP)など外信報道によると、北朝鮮の核弾頭は65発に増え、最大1万2000基の遠心分離機を備えた秘密ウラン濃縮施設を運用しているという。核弾頭が20発から65発に大きく増えたことも問題だが遠心分離機のほうが深刻だ。1万基を越える遠心分離機で核兵器級の高濃縮ウラン(HEU)を継続して生産することができるからだ。北朝鮮プルトニウムは露出した複雑な抽出過程を経て年間7キロほどをなんとか生産できるレベルなのでむしろそれほど重要ではなくなった。

  北朝鮮のウラン濃縮は次元が違う。これまで分かっていた濃縮施設は寧辺(ヨンビョン)の遠心分離機4000基規模の工場だ。この施設は米ロスアラモス国立研究所の所長を務めたジークフリート・ヘッカー博士などに対して2010年11月初公開された。当時、濃縮施設1、2階のプラットホーム(長さ50メートル)の上に2000基の遠心分離機が3列で隙間なく並べられていた。ヘッカー博士の証言によると、濃縮施設の内部は現代的であり、年間HEU40キロを生産することができるという。北朝鮮はその後、この施設を倍以上(遠心分離機最大6700基)に拡充した。しかし、核科学者は北朝鮮が寧辺濃縮施設を公開する前の2000年代中盤に規模がさらに大きい秘密濃縮施設をすでに建設していると判断している。韓国情報当局も北朝鮮に追加で秘密濃縮施設1~2カ所あると推定してきた。今回報道されたカンソン地域にある遠心分離機1万2000基規模の濃縮施設がその秘密施設だ。

  したがって、寧辺とカンソン地域にある濃縮施設を加えれば遠心分離機は最大1万8700基に達するほど大規模になる。イランが2015年核開発中断合意の時にナタンズに設置していた遠心分離機2万基水準のウラン濃縮施設と規模が似ている。北朝鮮にさらに第3の濃縮施設があるなら、全体規模はイランを上回る。ドナルド・トランプ米大統領がイラン核合意(JCPOA)から離脱した理由も北朝鮮濃縮施設のためと考えられる。JCPOAでイランは2万基の遠心分離機のうち、2/3は廃棄して残りは残すことで合意した。したがって、北朝鮮が米国と非核化交渉でイランのように遠心分離機2/3だけ廃棄すると言いながら公平性問題を持ち出せば米国としては苦しい立場に立たされることになる。

  

  北朝鮮の遠心分離機はイランのものより新しい。イランの遠心分離機2万基のうち1万9000基は1世代級のP1型だが北朝鮮はマルエージング鋼で作った2世代(P2型)を保有している。1分あたりの回転数が9万回のP2型遠心分離機はパキスタンから提供された。イスラエル情報機関出身の専門家によると、北朝鮮-イラン間の取引はパキスタンのブットー首相が1993年秋に金日成(キム・イルソン)主席に会ったことから始まった。パキスタンは1993~94年の間に北朝鮮にP1型遠心分離機20基とP2型4基を提供した(イスラエルディフェンス紙2017年7月6日付)。北朝鮮はその対価としてパキスタンにノドンミサイル技術を提供したという。この技術でパキスタンが開発したのがガウリミサイルだ。パキスタンはその後、遠心分離機をイランとリビアにも提供した。

  情報当局によると、北朝鮮が生産したHEUは昨年までで750キロ水準だ。また、ドイツのオコ研究所(Oko-Institut)の推定ではHEUを毎年300キロ以上生産することができる。この計算通りなら、北朝鮮は2020年までHEU1650キロを手に入れることになる。このHEUで爆発規模20キロトン級の核弾頭を作ればHEU損失率(30%)を勘案しても128発(1発=HEU9キロ)だ。これにすでに完成しているプルトニウム弾20発を加えれば北朝鮮が保有する核弾頭は計算上140~150発になる。北朝鮮の核弾頭数が英国(215発)に続き世界6~7位に急浮上する。北朝鮮核弾頭の中には水素弾もあると考えられる。北朝鮮がほぼ完全な核武装国になるということだ。

  北朝鮮が多くの核弾頭を持てば経済と体制生存を目標にした当初の考えから大きく変わることになる。戦略も変わる。韓国統一研究院のキム・ボミ博士によると、北朝鮮はすでに核兵器で中国など第三者を外交・安保的に友軍として引き込み、危機をまぬがれる触媒(catalytic)戦略で成功している。もう一歩前に出て、確証破壊戦略を基盤とする最小抑制戦略(インド・パキスタン)を経て攻勢戦略として進行中だ(『新興核保有国の浮上:北朝鮮の核能力と核戦略特徴』)。北朝鮮が昨年7~8月の夜間に発射したミサイル「火星14型」や日本を越えて着水した「火星12型」はこのような次元での実戦的訓練という分析だ。

  だが、韓米は北朝鮮の核戦略追求遮断の決定的な時を逃した。北朝鮮が核弾頭を昨年の秋から最近まで集中的に生産したとみられる。このため自信満々だった米国のトランプ大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に会った後、「金正恩なだめ」に変わったかもれれない。トランプ大統領は6.12首脳会談直後、金委員長を核保有国首脳水準として会った。北朝鮮を軍事的成人として扱ったのだ。そのためかポンペオ長官も北朝鮮非核化をCVID方式からFFVD(最終的かつ完全に検証された非核化)へ一歩退いたとみられる。訪朝中のポンペオ長官のカウンターパートに金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長の代わりに李容浩(リ・ヨンホ)外相が登場した点も同じ脈絡だ。核交渉を外交的次元で推進すれば「all or nothing」ではなく過去の6カ国協議のように数年かかる可能性が高い。この間に北朝鮮はHEU蓄積と核兵器高度化で完全な核武装国に変身するだろう。

  3回目の訪朝となるポンペオ長官の荷がより重くなった。

  ポンペオ長官が今回の訪朝で満足できるだけの完全な北核廃棄リストを持ってくることができなければすべての非難がトランプ大統領に向かう可能性がある。北朝鮮の核武装も結局認めることになる。これに伴い、政府はこれから内部的に北朝鮮を核武装国と想定しながら対策づくりを行わなければならない。金委員長が非核化に積極的に取り組めば幸いだが、そのような希望的思考は一旦脇の置いておく必要がある。北朝鮮はどのような契機で急変するか分からない。北朝鮮が弾道ミサイル1000発の一部に核弾頭を装着して発射したと仮定する時にどう対処するか。この問いに対する回答を出さなければならない。核武装した北朝鮮、非核の韓国、在韓米軍のない韓米同盟のような最悪の状況まで想定しなければならないかもしれない。

<Mr.ミリタリー>北朝鮮が核武装国なったのに…非核化交渉は引き続き疑問符(2)

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