【社説】厳しい生活の現場とは乖離した文大統領の経済解決策
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.01.11 09:38
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が10日に行った新年記者会見のキーワードは「経済」だった。冒頭発言の半分以上を経済分野が占めた。「経済」という言葉は35回も出てきた。雇用指標が最悪になるなど民生経済の悪化に対する懸念の声が高まる状況で、国政の中心を経済に合わせるという意志を見せたのだ。文大統領は「成長を持続させるために必要なのが革新」とし「追撃型経済を先導型経済に変え、新しい価値を創造し、新しい市場を率いる経済はまさに革新から生まれる」と強調した。「成長」(29回)、「国民」(25回)という言葉も多かった。先日、第2期経済チームに企業の現場を訪問するよう強調したのも、青瓦台(チョンワデ、大統領府)参謀陣の交代を通じて経済に注力するよう述べたのも、新年には国民の生活問題に集中するという意志と解釈される。
方向は正しい。しかし経済は現実だ。先入観にとらわれて政策を追求すれば全く違う結果が出ることもある。良い意図で出した政策でも結果が良くないこともある。文大統領も会見で「(この20カ月間)雇用指標が振るわず、国民の期待に応えられなかった点が最も残念だ」と述べた。そして「雇用こそが国民の生活の出発」とし「雇用の量と質を共に高めることに注力する」と強調した。実際、統計庁の「2018雇用動向」を見ると、昨年の失業者は107万3000人と、年度別比較が可能な2000年以降最も多かった。昨年の失業率も3.8%と、2001年(4.0%)以来17年ぶりの最高水準となった。また文大統領は商人、自営業者、農業が「国民経済の根幹」と述べ、市場と地域商圏を保護して商売がうまくいくよう支援し、最低賃金引き上げで厳しくなった自営業者対策を強化すると主張した。成長の鈍化を認め、それによって苦痛を受ける国民に合う対策を用意するという意志を明らかにしたのは評価できる。