【社説】為替に手をつけて輸出増やした時代は終わった
新政府の経済チーム長格である姜万洙(カン・マンス)企画財政部長官が「企画財政部が為替政策の主導権を握らなければならない」と述べたという。成長を重視する姜長官の発言は輸出競争力を高めるため為替を上げる方向で積極的な為替政策を運用するという意味に解釈される。本来、企画財政部所管である為替政策をめぐり、敢えて主導権を持つと主張したことは外国為替市場管理業務を事実上担当する韓国銀行に対する不満を表したことでもある。「中央銀行はウォン高を維持しなければならないから、為替政策と食い違う側面がある」という言及は、本音が含まれている。要するに姜長官の発言は、市場介入を通じてでもレートを高く維持し、輸出を増やすという強い意志を表明したわけだ。
国内外的に成長に不利な条件の中でなんとしてでも景気をよくするという姜長官の意図のようだ。しかし人為的な為替の引き上げを示唆した姜長官の発言は、多方面において適切ではない。まず為替で輸出競争力を高めるという発想自体が旧態そのものだ。過去の政府主導で経済が運用された時代にはそのような人為的な輸出拡大政策がとられたことがある。しかし外国為替市場が自由化し、資本市場開放時に市場介入を通じて為替操作をするのには限界があるだけに、その効果も疑わしい。むしろ国際的に為替操作国家という汚名を自ら招き、急激な為替変動の危険性を高めるだけだ。その上、世界的に原資材値が急騰する状況で為替レートを無理やりに引き上げた場合、輸入物価上昇によるインフレーションをけしかけるだけだという可能性が高い。