イランがイスラエル本土に対する攻撃に出て中東の緊張が高まる中、国際原油価格は不安な動きを見せている。国際原油価格の基準となるブレント原油（６月物）は１５日、１バレル＝９０ドル台で動いた。前営業日の１２日には５カ月ぶりに取引時間中に１バレル＝９２ドル台まで上昇したりもした。中東発の危機にともなう市場の流れを見守ろうという傍観傾向が深まり原油価格急騰傾向はひとまず落ち着いた雰囲気だ。

しかし専門家は当分国際原油価格上昇圧力が大きいとみている。リポウ・オイル・アソシエイツのアンディ・リポウ会長は１４日、ＣＮＢＣで「イランの石油生産や輸出施設が攻撃を受ける場合、ブレント原油価格が１バレル＝１００ドルまで上がる恐れがある」と話した。ブルームバーグは１５日、「地政学的リスクに金と原油価格の上昇、株式と国債利回り下落が予想される。中東地域の戦況が拡大する場合、世界経済にスタグフレーションの脅威が大きくなりかねない」と警告した。

ただ慎重論も観測される。原油価格の短期的上昇要因は中東情勢という地政学的リスクだが、中長期的には供給問題であるためだ。現在としては国際社会がイランとイスラエル両国に戦争拡大自制を要求する雰囲気の上に石油輸出国機構（ＯＰＥＣ）の余裕生産能力も１日６６０万バレル水準で十分だ。国際原油価格が上がればＯＰＥＣが生産量を再び増やす可能性もある。

今後の国際原油価格の行方はイスラエルの反撃とホルムズ海峡の状況によって変わる見通しだ。サンサンイン証券のアナリスト、チェ・イェチャン氏は「イスラエルの反撃なく単発で終わる場合、原材料市場に及ぼす影響は大きくない見通し。国際社会の引き止めにもイスラエルの報復が進められ、イランの対応がイスラエルを支援する西側諸国に拡張されるならばホルムズ海峡封鎖措置が進行される恐れがある」とした。