米シカゴ近郊でイスラム教徒に向けたヘイトクライムと推定される殺人事件が発生し６歳の少年が犠牲となった。

ＣＮＮとニューヨーク・タイムズなどが１５日に伝えたところによると、米イリノイ州ウィル郡の司法当局は１級殺人と殺人未遂、２件のヘイトクライム容疑などで７１歳の男を逮捕し取り調べている。男は前日シカゴ南西部にあるプレーンフィールドタウンシップの住宅で６歳の男児を凶器で刺し死亡させ、少年の母親を負傷させた容疑を受けている。

事件当日警察は「家主から攻撃を受けている」という母親の通報を受け出動し、自宅の進入路に座っている男を捕まえた。男は犯行が発生した自宅の家主で、被害母子はここの１階の部屋を借りて住んでいたという。男は現在事件関連の陳述を拒否しているが、男が侵入した１階の寝室では２６カ所を刺され死亡した男児と１２カ所以上を刺され重態に陥った母親が発見された。母親は現在深刻な負傷にも回復に向かっているという。

母親は夫に送ったショートメッセージを通じ事件当時の状況を伝えた。男は事件当日午前１１時３０分ごろにドアを叩いたという。母親がドアを開けると「お前のようなムスリムは死ななければならない」と叫んで首を締めようとし、すぐに凶器を持ち出した。

男を避けトイレに逃げ込んだ母親はすぐ警察に通報したが、すぐ倒れている息子を発見した。母親は「すべてはあっという間に起きた」と話した。今回の事件前に男と母親の家族の間に特別な問題はなく、彼が中東関連ニュースを見て憤怒し犯行に及んだと米最大のムスリム団体である米イスラム関係委員会（ＣＡＩＲ）は主張した。

米司法当局もイスラエルとハマスによる紛争により被害者らが標的になったとみている。男児の母親は１２年前、父親は９年前に西岸地区から米国に移住し、男児は米国で生まれた。シカゴ郊外にはパレスチナ系米国人が集まって住む共同体が形成されている。

ＣＡＩＲは「男児はバスケットボール、サッカー、ぬりえの勉強と人々などすべてのものを愛する６歳の子どもだった。愛する家族の中で幸せに育っていた。重い気持ちで男児と彼の母親のために祈る」と伝えた。

バイデン米大統領は１５日に声明を通じ「この家族は平和に生き学び祈る避難所を求めて米国に来た。この恐ろしいヘイト行為が米国にいる場所はない。イスラム教に対するヘイト、あらゆる形態の偏見と憎悪を拒否しなければならない」と強調した。