柔軟なコーナーワークとスピード、そして持久力をも備えた金東聖(キム・ドンソン)は、常に全種目の優勝候補だった。昨年のワールドカップシリーズで総合1位となった後、コンディションと技量が最高潮に達し、金がソルトレークでメダルラッシュをかけるとする予想が支配的だった。
1996年国家代表に選抜された金は、同年3月ハルピンで行われた冬季アジア大会で2冠に輝き、その可能性を見せつけた。そして98年の長野五輪では、男子1000メートルと5000メートルリレーで2冠を制し、その花を咲かせた。特に1000メートル決勝でゴール目前でスケートのエッジを突き出して2位の李佳軍(中国)を0.05秒という僅差で破ったシーンが印象深い。