北朝鮮の労働新聞が３日、韓国哨戒艦爆沈事件を「南朝鮮のねつ造劇」と主張した。金英哲（キム・ヨンチョル）労働党対南担当副委員長が前日平壌（ピョンヤン）を訪問中の韓国側記者団に「南側で哨戒艦『天安』爆沈の主犯だという人が私、金英哲」と話した翌日だ。

労働新聞はこの日「南朝鮮保守一味がねつ造した稚拙な幼稚な謀略劇である『天安』沈没事件の真相はすでに天下に暴露された。天安沈没事件を口実に同族に対する敵対感と対決意識を鼓吹した」と主張した。

労働新聞のこの論評は先月２３日に「天安」爆沈など北朝鮮の挑発で死亡した将兵を追慕するために開かれた「西海守護の日」を非難しながら出てきた。西海守護の日は朴槿恵（パク・クネ）政権時代だった２０１６年に法定記念日に制定された。北朝鮮は１日には対南宣伝メディアである「わが民族同士」を通じ「天安沈没事件と延坪島（ヨンピョンド）砲撃戦をだれかの挑発によるものと既定事実にし同族対決意識を鼓吹するための道化芝居」と主張した。

金英哲氏が２日に韓国側記者団にした発言も天安爆沈主犯議論をなだめてやり過ごそうという意図と読まれる。ワンコリア研究センターのクァク・ギルソプ代表は「金英哲は天安爆沈が自らの仕業ではないという主張を不適切な冗談調を借りて表現したもの。今回の首脳会談を契機に天安爆沈に対する責任を回避する突破口を探そうというつもりだ」と話した。国家安保戦略研究院のチョ・ソンリョル責任研究委員は「北朝鮮が２７日の首脳会談以前に天安をめぐる議論という障害物をそれなりの方式で整理しなければならないと判断したようだ」と分析した。

「天安」爆沈当時に軍偵察総局長を務めていた金英哲氏は２月の平昌（ピョンチャン）冬季五輪閉幕式には北朝鮮高位級代表団団長として訪韓した。彼の訪韓を韓国政府が受け入れたことをめぐっては激しい議論が起きた。金英哲の２日の発言に対し青瓦台（チョンワデ、大統領府）核心関係者は「特別な立場はない」とし、国防部のチェ・ヒョンス報道官もやはり「公式に言及するのは適切でない」と話した。

金英哲氏はまた、３日には北朝鮮当局を代表して韓国側芸術団の南北合同公演を観覧した。軍時代から金英哲氏の右腕だった李善権（イ・ソングォン）祖国平和統一委員会委員長もともに公演を見守った。金英哲氏は公演後には文化体育観光部の都鍾煥（ト・ジョンファン）長官と芸術団を招いて夕食会も主催した。

この日の公演は午後３時３０分（北朝鮮時間３時）から約２時間にわたり韓国側芸術団１１チームと北側三池淵（サムジヨン）管弦楽団の合同舞台で行われた。公演後半にイ・ソニ、チェ・ジニ、ペク・ジヨン、ソヒョン、レッドベルベットら南側歌手と北側歌手が「漢拏山（ハンラサン）も独島（ドクト、日本名・竹島）もわが祖国です」という歌詞が入った「白頭（ペクトゥ）と漢拏はわが祖国」を合唱した。フィナーレは南北出演陣全員がステージに上がり「われらの願い」と「また会いましょう」を合唱して飾った。金英哲氏、李善権氏とともに南側芸術団団長を務めた都鍾煥長官らが起立し手を取り合って合唱する場面も演出された。三池淵管弦楽団の玄松月（ヒョン・ソンウォル）団長は所感を聞く韓国側記者団に「南北の歌手が失敗しないでとてもうまくやった。（南北が）一緒に歌った部分が最も良かった」と話した。歌手のユン・サンは「今回一度で終えるのは残念」と話した。

韓国側芸術団はこの日公演を終え金英哲が主宰する夕食会に参加した後、夜遅くイースター航空のチャーター機で仁川（インチョン）空港に帰還した。

北朝鮮はこの日南北首脳会談の儀典・警護・報道問題を話し合うため４日に予定された実務会談を１日遅らせようと提案してきたと統一部が明らかにした。北朝鮮はまた、南北首脳間のホットライン（直通電話）開設に向けた通信関連実務会談は７日に板門店（パンムンジョム）北側「統一閣」で開こうと提案した。儀典・警護・報道実務会談には韓国側からチョ・ハンギ青瓦台儀典秘書官率いる７人の代表団が、北朝鮮からは６人の代表団が参加する。統一部当局者は北朝鮮の急な延期要求に対し「北側が明らかにした理由はない」とだけ述べた。

◇李雪主、金正恩を「私の夫」と呼称＝先月５日に文在寅（ムン・ジェイン）大統領特別使節代表団と金正恩（キム・ジョンウン）夫妻の夕食で李雪主（イ・ソルジュ）が金正恩を「チェ・ナムピョン（私の夫）」と呼んだと朝日新聞が３日に報道した。朝日新聞は「最高指導者の正恩氏は「元帥様（ウォンスニム）」と呼ばれており、こうした呼び方は極めて異例。『普通の国家』を演出したとみられる」と伝えた。