２１日、長官候補の指名を受けた康京和（カン・ギョンファ）国連事務総長特別補佐官は、国会の人事聴聞会を通過すれば、憲政史上初めての女性外交部長官になる。

文在寅（ムン・ジェイン）大統領は「２００６年から国連で活動して国際外交舞台で培った専門性とネットワークを基盤に、敏感な外交懸案に対して賢明に取り組んでいける適任者だと判断した」とその理由を説明した。

康氏は歴代外交部長官とは違い、４強（日米中露）と直接交渉した外交活動経験がない。北朝鮮関連の業務も直接扱ったことはない。特に、北核危機状況で４強外交経験のない康氏の指名は想定外だった。

初の女性、外交官試験を受けずに特別採用された人物だという人事メッセージは外部に伝えることはできるが、実務能力面では人事聴聞会の過程で検証が必要だという指摘が出ているのはこのためだ。外交部では「今後、関連業務の重心が青瓦台（チョンワデ、大統領府）国家安保室と統一部に移るのではないか」という分析も出ている。

康氏は延世（ヨンセ）大政治外交科を卒業してＫＢＳ（韓国放送公社）英語放送アナウンサー兼ＰＤとして社会生活をスタートした。１９９７年通貨危機当時、大統領に当選していた金大中（キム・デジュン）氏とビル・クリントン米大統領の電話会談を通訳した後、専属の英語通訳士に抜てきされた。

９８年、外交通商部国際専門家として特別採用を経て洪淳瑛（ホン・スンヨン）長官の補佐官を務めた。２００１年から国連代表部公使参事官として人権・社会業務を担当し、２００３年から２年間、国連本部女性の地位委員会の議長を務めた。盧武鉉（ノ・ムヒョン）政府だった２００５年７月、外交通商部国際機構政策官に任命された。外交官試験を受けない女性が外交部本部で局長に就任したのは初めてだった。当時の長官が潘基文（パン・ギムン）氏だった。

２００６年９月には国連人権高等弁務官事務所副代表に任命された。事務次官補級で、韓国女性として国連最高のポストに就いた。康氏はこの時、潘基文氏からの恩恵を受けたと言われていたが、潘氏の国連事務総長の当選が確定する前だった。康氏を抜てきしたのはコフィー・アナン前事務総長だったという。政府消息筋は「アナン事務総長が康氏の国連での活動に目を留め、潘基文（パン・ギムン）長官に派遣を打診した」と説明した。潘氏が国連事務総長の選挙に出馬した時、各国首脳などに送るレターも康氏の手を経た。

その後、康氏は国連人道問題調整事務所で事務次官補と緊急救護副調整官を兼務しながら人権や女性地位、人道主義問題など国連の核心業務に携わってきた。潘事務総長の任期が近づくと、アントニオ・グテーレス新任総長が康氏を引継チームのトップに起用した。コフィー・アナン－潘基文－アントニオ・グテーレスら事務総長３代にわたって重用された。

夫の李一ビョン（イ・イルビョン）延世（ヨンセ）大名誉教授は中央日報の電話インタビューで「康京和という人は難しい時でも引き受けた任務はすべてこなすことができる人」としながら「外部とコミュニケーションを図り、政府の政策方向をうまく伝達する役割を果たすことができるだろう」と述べた。現在、ジュネーブに出張中の康氏は、近く帰国する予定だ。

◆青瓦台、先制的に「子どもの二重国籍」公開＝趙顯玉（チョ・ヒョンオク）青瓦台人事首席は「検証過程で、８４年康氏の米国留学中に生まれた長女が二重国籍者で、韓国国籍を離脱していたことが確認された」と明らかにした。また、「本人が改めて韓国国籍を取得すると約束した」と説明した。また「長女は米国で１年間高等学校を通っていたが、韓国に転校して親戚の家に偽装転入した事実が確認された」とした。康氏には３人の子どもがいる。青瓦台が長官候補の欠陥理由を前もって公開するのは異例だ。趙首席は「現在の状況で最も適任者と判断したため」としながら「文大統領に公開意志があったため、あらかじめ申し上げた」と説明した。

◆康京和氏（６２）…ソウル生まれ。梨花（イファ）女子高、延世大政治外交学科、米マサチューセッツ工科大学メディア・コミュニケーション博士を経て、外交通商部国際機構政策官、国連人権高等弁務官事務所副代表、国連事務総長特別補佐官を歴任。