【時論】不安を増幅させる社会=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.08.05 15:03
先月下旬、釜山(プサン)・蔚山(ウルサン)地域でおかしな悪臭とガス臭が広がり始めた。市民は有毒性の化学物質が放出されたのではないかと疑ったが、時間が経っても原因が明らかにならなかった。不安になった市民の間で突然「日本の大地震直前に出た臭いと似ている」といううわさが広がり、ちょうど白砂浜で群れを成して移動するアリが目撃された。巨済(コジェ)海水浴場で巨大深海魚が捕獲されてあっという間に地震の前兆かもしれないという疑念へと飛躍した。一方では古里(コリ)原子力発電所の異常兆候と関係したものではないかという不安感も生まれた。いわゆる怪談が出回り始めたのだ。
専門家たちが「地震前の兆説」や「原子力発電所異常説」を根拠のないうわさだと一蹴したが、人々の不安感は簡単にはおさまらなかった。幸い先月26日に構成された「釜山・蔚山地域ガス・悪臭民官合同調査団」が「釜山は付臭剤、蔚山は工団悪臭のせい」という調査結果を出した。怪談も弱まる可能性が高い。だが、こうした怪談騒動はいつでも繰り返される可能性があるとみられる。政府と専門家社会が怪談の本質を正しく理解できないまま対応しているからだ。