つまらない番組も多いテレビだが、その中で安らぎを与えてくれる人に会う楽しみまでを否定することはできない。隣に善良な人が住んでいるということも素朴な幸せだ。朴相元(パク・サンウォン)のイメージがまさにそうである。『黎明の瞳』で彼はチェ・デチ(崔宰誠)のようにへびを噛んだりもしなかった。『砂時計』で「おれ今、震えているのか」と尋ねたテス(崔民秀)のように悲壮感を作ったりもしなかった。彼が演じたチャン・ハリムやカン・ウソックが世の中の渦を避けていたわけではないが、それに刺激や絢爛さで対抗したりはしなかった。
生きていくうちにある地点で気付くようになるだろう。世の中には平均的な人が多いはずだが、実像はそうではない。過剰だったり不足した人が思いのほか多い。オーバーな人と足りない人の総合が平均を作るわけだ。彼には平均や平凡よりむしろ平静が似合う。