「規模の経済が速い革新を作る」

韓国レノボのカン・ヨンナム代表理事は中国のＩＴ企業躍進の背景に「革新」を挙げた。１３億人に達する消費者を抱える中国市場での経験が世界市場でも通じる変化を引き出しているということだ。彼は「消費者の購入パターンの変化」を主要経験の例に挙げた。１０年前には中国の消費者はサムスンやＬＧのようなブランドだけを見て電子製品売り場で製品を買っていた。だがいまでは「欲しい機能」を備えた製品を検索し、オンラインショップで相当量の製品を購入する。彼は「代理店に商品を持ってきておけば売れた時代は過ぎた。目につく革新を見せてこそ消費者を引き込むことができる」とした。

カン代表は自身のオフィスに置かれたモニターをテーブルの上で寝かせた。立てて使うだけだったモニター画面をタッチすると２人用ゲームが可能な画面に変わった。彼は「画面とキーボードを分離させたノートブックＰＣ、四角一色だったタブレットから抜け出し、キックスタンドを付けたヨガタブレットを初めて出したのがレノボ。すべて消費者のニーズを反映した結果」と説明した。

オンラインで行われるコミュニケーションは消費者が求める製品を早く出せるようにする原動力になる。ソーシャル・ネットワーキング・サービス（ＳＮＳ）プラットフォームに中国企業が投資する理由でもある。実際に韓国レノボは新製品発売に先立ちフェイスブックを通じて製品を紹介する。「いいね！」が多いほど該当製品の発売日は前倒しされるという。

カン代表は「中国ではすでに２年前からカカオタクシーのようにスマートフォンを利用した事業が根付いており、アリペイのようなモバイル決済もやはり韓国より２～３年早く導入された。韓国企業はハードウェア技術ではリードしているが、ユーザーの経験値を新しく変えるのは遅い」と指摘した。

彼は「消費者をいち早く読み取る“チャイナトレンド”は中国企業がリードする原動力になっている。中国をこれ以上製造中心の低開発国という視線で見てはならない理由がここにある」と強調した。