【コラム】毒にも薬にもなりうるISD=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.11.21 09:40
韓中自由貿易協定(FTA)が10日に妥結した。ここには「投資家-国家間の訴訟(ISD、investor-state dispute)」についての合意も含まれている。しかし2007年に改正された韓中投資保障協定(BIT)にあった内容をそのまま持ってきたという。今と大差がないということだ。これは韓米FTAが2012年3月15日に発効する直前までの状況とは明らかに違う。当時、交渉の最大争点はISD訴訟制の導入の有無だった。野党は代表的な害をもたらす条項として削除を主張した。投資家個人が甘受しなければならないリスクを国家に転嫁させて司法府の判決も仲裁申請対象になり、司法の主権を侵害しかねないというものだった。政府側は韓国企業の投資保護のために必要な制度であり、仲裁機関が司法府判決を審理する場合は外国人差別など協定上の義務違反である時だと説明した。結局、与党単独でFTAは通過し、李明博(イ・ミョンバク)元大統領はISD再協議の推進を約束した。
ところが協定発効から8カ月後となる2012年11月、米国の私募ファンドのローンスターが韓国政府を世界銀行傘下の国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴した。外換銀行の売却を保留して譲渡税を徴収したのは差別的措置だとして韓米FTA違反だという理由だった。賠償金43億ドルを要求した。すると一部の市民団体は「ISD訴訟導入が誤っていたという証拠」だとして再協議過程で害を招く条項を取り除くよう主張した。2年にわたる攻防が続いている。