韓国政府の国防予算34兆ウォン、安全予算は1兆ウォン
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.04.29 10:39
セウォル号沈没惨事を体験する中で、安保の概念が「国家」ではなく「国民」個人に合わせなければならないという声が高まっている。いわゆる「人間安保(人間の安全保障:human security)」の概念への転換だ。人間安保という概念は、民間人の保護が国家安保という大きな論議の犠牲になってはいけないという問題意識から始まった。国連開発計画(UNDP)が1994年に初めて人間安保という単語を使った。UNDPは「人間が、人間らしい人生を送ることができないようにさせる全てのもの」を安保の脅威と規定した。冷戦終息後、他国の侵入よりも災害・犯罪・人権弾圧といった内部的な要因による国民の犠牲がより大きくなった状況とかみ合っている。
だが現在の韓国の安保意識は、依然として冷戦時期にとどまっている。北朝鮮という威嚇が存在する韓半島(朝鮮半島)の特殊性があることもあるが、世界的・時代的な流れとはかけ離れているという指摘だ。昨年の国防予算は34兆3453億ウォンだ。災難管理などの安全分野の総予算(9840億ウォン)の35倍だ。国家安全保障会議(NSC)もまた「北朝鮮対応班」レベルにとどまっている。「安保とは国全体の生存がかかった問題であり、個人の安全や安保を同列に見ることは難しいというのが政府内の共感」というある当局者の言葉が、現在の雰囲気を物語っている。3000件余りに達する災難マニュアルがセウォル号事故の際に何の機能も果たせなかったのは、政府が「安全」を「安保」と分けて取り扱うからだとの指摘も出ている。