世界的なシェフたちが画家に変身した。アトリエはホテルのメイン厨房、真っ白なキャンパスを染めた画材はオイスターソースや醤油、トマトソース、チョコレートなどだ。日本・フランス・ドイツ・イタリア・インド・タイ・香港など７カ国から来た８人のスターシェフたちが共同作業で描いた。

スターシェフのアートプロジェクトは、ＪＷマリオットホテルソウルの総厨房長アンドレアス・クランプル氏（４１）が企画した。クランプル総厨房長は「なかなか１カ所に集まるのが難しいスターシェフ８人が共同作業した瞬間を永遠に残したかった」として「料理はやはり芸術だということを描くことで表現した」と話した。このホテルは先月３０日まで１カ月間『カリナリーアート＠ＪＷ』と題し、世界的なシェフを招待して料理を披露するイベントを行った。世界的なレストランガイド『ミシュランガイド』から二つ星を受けたレストランを直接経営するシェフをはじめホテルの首席厨房長級のシェフ８人が参加した。

絵の作業はシェフが初めて一緒に集まって料理を作った先月２０日夕方に行われた。この日、シェフたちはそれぞれ一つずつコース料理を担当して“グランド・ガラディナー”を催したが、このディナーが始まる前に厨房で絵の共同作業を繰り広げた。

ミシュランガイドの二つ星レストランである日本の京都の“京料理たか木”のオーナーシェフ高木一雄氏は、パプリカパウダーでこの日のアペタイザー（前菜）で飾ったあじさいの花を表現した。ミシュラン一つ星を受けたザ・リッツ・カーツトン大阪のフランス人シェフ、クリストフ・ジベール氏はトマトソースで軽やかに線を引いてエッフェル塔を描いた。ＪＷマリオットホテル香港の中華レストランの シェフ、イップ・クウォックファイ氏はオイスターソースと醤油で香港の夜景と波打つ海、遊覧船を表現した。クレムフル総厨房長は赤いハイビスカスの花シロップと若葉で明るく光る６月のソウルをキャンパスに盛り込んだ。

全て、この日に自身が出した料理の材料を使った。絵に“自尊心の戦い”をそのまま入れ込んだのだ。クランプル総厨房長は「８人の料理が１カ所に順に出てきて評価を受けるだけに、見えない競争が激しかった」と明らかにした。この日、厨房で料理をする姿がディナー現場で生中継されて緊張感はさらに高まっていた。タイのシェフはサラダソースをスプレー容器に入れ、デザートシェフはココナッツクリームをチューブに密封して出すなど斬新なアイディア競争が繰り広げられた。日本の高木シェフは「３月に韓国を訪問して鷺梁津（ノリャンジン）水産市場や可楽洞（カラクトン）農産物市場をあらかじめ見回った」と打ち明けていた。