２０１８年冬季五輪招致戦のハイライトとなる国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）による現地視察が５日ですべて終わった。グニラ・リンドベリ委員を団長とした１４人の調査団は２月第２週にフランス・アンシーから第３週に江原道平昌（カンウォンド・ピョンチャン）、３月第１週にドイツ・ミュンヘンを回った。結果は報告書としてまとめ、５月１０日にＩＯＣ委員に配られる。この報告書は５月１８～１９日にスイス・ローザンヌでＩＯＣ委員全員が参加して開かれる候補都市のブリーフィングで主要参考資料として使われる。

リンドベリ団長は報告書刊行以前には細部について極度に言葉を慎む。事情をよく知らないドイツの記者が４日、「どの都市が特別に良いのか話してほしい。ミュンヘンではないのか？」と質問すると、すぐに「Ｎｏ」と短く答えた。しかし記者会見で出る言葉の行間は読む必要がある。リンドベリ団長はアンシーでは、「多くの改善がなされた」と発言し、招致戦が「ミュンヘン対平昌」に向かう様相の中、アンシーにも機会があるということを示唆した。平昌に対しては「多くの進展を成し遂げた」と話したリンドベリ団長は、ミュンヘンでは、「ウインタースポーツ大国のドイツで情熱を感じた。招致委員会のチームワークが良く非常にプロフェッショナルだ」と話した。

現在のスコアはミュンヘンと平昌の接戦だ。ミュンヘンはウインタースポーツ大国でトーマス・バッハＩＯＣ副会長という強固なバックグラウンドを持つ。平昌は３回目の挑戦という情熱、競技場建設など約束を守る誠実さに、アジアという“新たなウインタースポーツ市場”を掲げる。バッハ副会長が、「新たな地域ではないウインタースポーツの根もとのミュンヘンで２０１８年五輪を開かなければならない」と強調するのは、それだけ平昌が気になっているという傍証と読み取れる。

ミュンヘンの足を引っ張るのはガルミッシュ・パルテンキルヒェンの土地収容拒否の動きと「Ｎｏオリンピック」という意味の「ノリンピア」（Ｎｏｌｙｍｐｉａ）デモだ。バッハ副会長と近いドイツ人ＩＯＣ専門記者は、「バッハ副会長は表面には出さないよう努めているが、内心ではデモ問題で頭を痛めている」と耳打ちした。しかし表面的には何の問題もないことを熱心に強調している。

ミュンヘン市のクリスチャン・ウデ市長は、ノリンピアの１日のデモについて、「あんな小さな規模のデモ隊は生まれて初め見る」と冗談を言った。招致委はまた、「Ｙｅｓオリンピック」という意味の「オリンピヤ」（Ｏｌｙｍｐｉｊａ）グループも紹介し、反対勢力に対する反撃を広げた。オリンピヤグループのペーター・ウテシュナイダーは、「反対デモは政治的意図を持った一部の声にすぎない」と話した。

ミュンヘンのまた別の強い点は、“五輪遺産”だ。１９７２年の夏季大会の遺産のオリンピックパーク内のプールをカーリング競技場に変えるなど、五輪遺産を活用する戦略を駆使した。「五輪遺産」（ｌｅｇａｃｙ）はＩＯＣのロゲ委員長が強調する用語だ。１９７２年の五輪がテロで終わった辛い記憶まで活用する老練さも見えた。バッハ副委員長は４日の記者会見で、「冬季五輪を招致誘致することで当時の悲劇を追慕できるだろう」とうまく対応した。

７月６日の開催地決定まで４カ月を残し、これからは本格的なスポーツ外交戦に突入する。３都市の神経戦はすでに火がついた。アンシー側はミュンヘンの視察が真っ最中だった３日、記者らに、「４日午後に招致委員長と電話インタビューを仲介する」と持ちかけた。ミュンヘンの視察日程のハイライトとなるＩＯＣ調査団の記者会見と重なる時間だ。インタビューを断った英国のＩＯＣ専門記者は、「ミュンヘンに対する妨害工作」と解釈した。米国の専門記者は「これからが本当の戦いの開始だ。水面下で激しいスポーツ・政治・外交折衝戦が繰り広げられるだろう」と予測した。

韓国の切り札はキム・ヨナ選手だ。キム・ヨナのプレゼンテーション合流の可能性についてミュンヘンも神経を尖らせている。“フィギュアの女帝”と呼ばれミュンヘン招致委員長を務めるカタリナ・ビットは本紙との単独会見で、「キム・ヨナと会うのを待ちこがれている」とした上で、「しかし、キム・ヨナは招致戦に飛び込んだばかりで、私は招致委員長として１年以上活動してきたのとは明らかに違う」とそれとなく牽制する姿勢を見せた。


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