【噴水台】郷友会
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2010.07.06 18:25
世界的な作曲家ユン・イサン(1917~1995)先生がドイツにとどまった1990年代中盤のことだ。94年、政府はユン先生に対する入国を許容することにした。67年東伯林(トンベクリム)事件に関連し、2年間、獄苦を経験したユン先生は、ドイツに渡って北朝鮮訪問など親北朝鮮活動をした理由で韓国に帰ることができない身の上だった。
「25年ぶりの歴史的帰還」に対する感懐を聞くために彼のベルリンの自宅に韓国の記者たちが押しかけた。会見中、ある記者が遅れて合流した。そして「故郷の沖で引き揚げた統営いわしです」と言っていわし1匹をとり出した。その瞬間「故郷の統営いわし」に感激したユン先生の目もとはたちまち赤くなり、のどが詰まって言葉が続かなかった。ユン先生はほかの記者たちはすべて差しおいて「いわし記者」の手をしっかり取って統営の話ばかりしばらく交わした。故郷に対する懐かしさと帰国に対する胸のときめきがあまりにも大きかったからだと。ユン先生は95年11月、結局故郷の地を踏めずに亡くなった。生前、彼は「私の音楽の母胎は統営の森と海、カモメ、漁をする音」と言った。