グローバル経済危機を克服し、持続的に成長・発展していくために、企業家精神に対する関心と重要性が注目されている。 李明博（イ・ミョンバク）大統領も財界人に創造的・挑戦的な企業家精神の発揮を要請した。 筆者も２１世紀に入って韓国成長の勢いが鈍った要因の一つが企業家精神の退潮だと考え、企業家精神の涵養のための政策的・制度的支援が必要だと繰り返し強調してきた。

企業家精神とは何か。変化する環境の中で企業活動の制約と危険を克服して機会をつかみ、革新を誘導して新しい価値を創造するだけでなく、社会的な責任意識までも兼ね備えた精神だ。 特に最近話題になっているグリーン・新成長動力のためのグローバルスター企業および技術革新型中小企業の育成など、韓国経済の持続的成長と新陳代謝を活発にするためには、何よりも企業家精神の涵養が必要だ。

まず企業家に対する肯定的な社会的認識と企業親和的な環境を構築しなければならない。 韓国では、企業を技術革新と雇用創出など市場経済を発展させる主体と考えるよりも、環境汚染・企業家の横暴など非倫理的な反企業情緒が、相変わらず一部の政治勢力とマスコミによって誇張されている。 したがって企業人が自ら社会的責任を意識して国民と一緒にする企業家精神を培養しなければならないのはもちろん、企業に対する国民の否定的な認識も改善される必要がある。 政府も企業に対する規制緩和および新規創業、家業継承に対する制度的な環境改善など、さまざまな支援制度を用意しなければならない。

次に企業家精神を育てるための体系的な教育システムの構築が求められる。 すなわち、革新的・創造的な企業人を養成できる機会を提供しなければならない。 最近「雇用のない成長」時代の到来で、青年の失業率が増えている。 優秀な人材がリスクを避けて安全を志向しているからだ。 挑戦と冒険を楽しむ企業家精神の不在だ。 筆者も学生を指導する過程で、優秀な企業家に成長する可能性がある人材が公務員試験で若い時期を送る姿を見ながら切なく感じることがある。 先進国の場合、かなり以前から政府・企業・学校が連係し、学生に対して企業家精神涵養のための教育を実施している。 韓国も政府だけでなく民間経済団体が支援し、企業家精神で武装した企業家の養成のための教育的・制度的装置を拡充しなければならない。

故鄭周永（チョン・ジュヨン）・李秉喆（イ・ビョンチョル）会長、日本の松下幸之助、米国のビル・ゲイツなど「尊敬される企業家」の例から分かるように、企業家精神は経済が厳しい時であるほどその価値が光を放つ。 韓国経済が回復局面に入ったといわれるが、新しい成長基盤として企業家精神の価値を強調していけば、持続的に成長・発展していくことも可能だ。 経済５団体と政府が来月開催する「第２回企業家精神週間」を、企業家精神を拡散し、不屈の企業家精神の価値を高める契機にしなければならない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　李尹ボ（イ・ユンボ）建国大学大学院長・経営学