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スターの結婚とファンの錯覚

2009.08.28 09:54
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#イ・ヨンエさんの結婚に全国が沸き返っている。清潔かつ神秘なイメージのトップスターである上、極秘裏に行われた結婚のためだ。法務法人が報道資料を通じ結婚を発表するという異例の形のため、その背景に対する好奇心が止まらなくなっている。インターネット上などに絶えずうわさが飛び交っている。

イさんの結婚が、多くのファン、特に中年男性のファンに少なくない喪失感を抱かせたようだ。新郎との年齢差がかなりあるということにショックを受けた人も多い。実際の相手(スター)は自分のことを全く知らないが、メディアの接触を通した「親しみの幻想」により非常に近い仲のように錯覚する心理機制が働くのだ。

 
イさんの結婚について、ある側近は「女性としての幸せを求め」という表現を使った。女性スターが結婚する度、常に出てくる修辞だ。男性芸能人が結婚する場合「男性としての幸せを求め」という言葉を耳にしたことがないから、依然として女性芸能人にとっては「結婚だけが幸せ」という意味だろうか。いまだ韓国では結婚以外の新しい生き方を示す女性スターが登場しにくいという意味だろうか。

#スターの結婚は、大衆にとってひとつのファンタジーでありロマンだ。おそらく大衆に記憶される最も美しいスターの結婚は、大衆をときめかせた劇中の恋人が実際に結婚することであろう。90年代、MBCテレビ(文化放送)のドラマ「愛をあなたの胸に」の放送が終わった直後に結婚したチャ・インピョ&シン・エラカップルが代表的だ。劇中のラブファンタジーを現実として完成させた。

07年、MBCテレビのドラマ「コーヒープリンス1号店」のファンは、W主演したコン・ユとユン・ウネに「とてもお似合いだから、交際してほしい」と「注文」することもあった。ハリウッドのトップスターカップル「ブランジェリーナ」のように、まるで一枚の絵のような美しい男女の交際も、愛と結婚という大衆のファンタジーを充足させる。

#半面、ファンにとってスターの結婚は大きな衝撃だ。90年代、X世代の偶像だったソ・テジを筆頭に、H.O.T、SHINHWAら、大人気を博した元アイドルメンバーの中にはまだ結婚した人がいない。万一彼らが結婚するとしたら、または韓流スターのペ・ヨンジュンやチャン・ドンゴン、80万人にのぼるファンを率いる東方神起(トンバンシンギ)が結婚するとしたらどうなるだろうか。

70年代にポップアイドルのドニー・オズモンドが結婚したとき、女性ファンの自殺が相次いだのはよく知られている事実だ。日本最高のアイドルグループ「SMAP」の木村拓哉が所属事務所の反対にもかかわらず、奇襲的に結婚を発表したことは、衝撃的なこととしてファンの心に残っている。当時木村はコンサートで良い夫になりたいという歌詞の「ライオンハート」を歌う途中、突然結婚を発表し、ビックリしたファンらは客席で涙ぐんだ。

#スターの結婚は本人にとっては極めて個人的なことだ。大衆はスターの選択に対し「甲論乙駁」できるものの、それはあくまでもゴシップの領域を抜け出せない。イさんのように結婚の過程を秘密にし大衆の「知る権利」を無視したと批判しても、すべてのはスターの勝手である。実際考えてみれば「万人の恋人」ほど巨大な錯覚もない。スターは自身の人気を支える抽象的なファンは愛しても、具体的な個人としてファンを愛さないからだ。数年間見守り愛す対象も、やはり包装された外見であるだけで、自然人としての実体ではないのと同様である。

スターの結婚は、スターというのがイメージ時代のメディアが作りだした最高の幻想であることにもう一度気付かせる。最近、あるタッチ型携帯電話のCMは「チョン・ジヒョンより僕のガールフレンドの方が良い理由は、触れるから」というコピーを導入した。もちろんそれにもかかわらず人々は「ファンの心」という名の下、触れないスターの魅惑にいつでもハマってしまうけれど。


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