ある主婦(48)が「カン先生」と会ったのは昨年12月だった。近所の知り合いから「安くしわを取る手術が受けられる」としてカン容疑者(52)を紹介された。増えるしわのため悩んでいた主婦はカン容疑者を家に呼び手術を受けた。額、ほほ、くちびるなど顔全体に「しわ取り用注射」を打ち、費用は190万ウォン(約14万5000円)。最初は「3分の1の価格でしわが取れた」と喜んでいたが、3~4カ月が過ぎ副作用が現れた。くちびるに注入した物質が固まりまひ症状が出てきた。まともに話をするのも困難なほどだった。額とほほは醜くふくれあがった。
警察の調べによると、カン容疑者は医療関連の免許を持っていなかった。国立科学捜査研究所がカン容疑者の自宅から発見した注射器に残っていた物質を分析した結果、工業用シリコンとして使われるポリジメチルシロキサンであることがわかった。潤滑剤や塗料原料、ガラス食器のコーティングなどに使われるこのシリコンを、カン容疑者は「しわ取り手術に使われるコラーゲン」とだまして注射していた。ソウル中部警察署は無免許で医療行為を行っていた容疑(保健犯罪取り締まりに関する特別措置法違反)でカン容疑者姉妹を逮捕したと27日に明らかにした。