【社説】労組によりゆがめられた銀行・公企業の賃金構造
最近、一部の銀行で役員と部長の賃金が逆転する現象が起きている。経済危機で役員が苦痛分担の観点から賃金と賞与の相当部分を減らしたためだ。これに対し労組の顔色をうかがい一般社員の賃金には手をつける考えすらできずにいる。賃金構造がゆがめられ一部国策銀行の古株部長は力の限り役員昇進を忌避するという。こうした現象は公企業も同様だ。昨年から経営陣の年俸は大幅に削減した反面、中間幹部らの給与は手を付けられずに生まれた現象だ。
最近公企業と銀行の新入社員年俸削減が推進されているようだ。韓国の金融業界の大卒初任給は1人当たり国内総生産(GDP)比で207%となっており、米国の61%、日本の135%より過度に高い。過度な大卒初任給を引き下げ、ここで生まれた財源をインターン社員採用や雇用維持に投入することは、経済危機克服のよい方法だといえる。しかしこうした措置が現実化すれば賃金構造のゆがみはより深刻になるのは明らかだ。経営陣と新入社員の給料袋は薄くなるのに対し、労組の保護を受ける一般正社員の給料は簡単に削れないためだ。こうした奇形的な構図はワークシェアリングや組織の健康性にまったくためにならない。