米国ドラマ『24』ではデイビッド・パルマーという政治家が初めて黒人米国大統領に当選する。しかし前途多難で参謀と閣僚たちの裏切りにより大統領職から追い出され、結局暗殺で最期を迎える。そんなふうにドラマ、映画などに登場した黒人大統領が現実の世界に誕生するのをみるとやはり政治は生物で、固定観念は崩れるために存在するようだ。
田母神俊雄前日本自衛隊航空幕僚長の論文騒動を見ながら痛々しいほどに執拗な日本極右派の固定観念をいま一度確認した。「大東亜戦争を経験しなかったら、現在のような人類平等の世界が来るのは100年、200年遅くなったかもしれない」などの内容から見て、論文と呼ぶには厳しい粗雑の極致だ。しかしこのような粗雑な固定観念が所信や信念で包まれ、現実の世界で影響力を発揮することは問題だ。日本の世論が論文の内容に対する反論を超えて、このような愚かな姿を先端兵器で武装した5万兵力の総責任者につけた人事システムと文民統制の危機を取り上げるのは当然だ。